阿波市出身の映画監督三木孝浩さん(47)に今夏公開される新作3作品の見どころや製作の裏側などを聞く連載企画(全3回)の第2回は、11日公開の「TANG タング」。近未来を舞台に、妻に家を追い出された引きこもりニートの主人公・健(二宮和也さん)が、記憶をなくした迷子の旧式ロボット「タング」との珍道中を通して人間的に成長していく姿を描く。三木監督にとって初めてCGキャラクターを駆使した本格SF作品となった。

©2015 DI ©2022 映画「TANG」製作委員会
©2015 DI ©2022 映画「TANG」製作委員会

 三木監督は「本当に現場から手探り状態でした」と撮影を振り返る。実写映像を撮った後にタングなどのCGを合成するため、「タングが一人で歩いているシーンでも、カメラマンと『歩く速度はこれくらいだよね』と話しながら、何もないところを撮るというシュールな方法でしたね」と語る。そのため、スタッフ全員がイメージを共有できるよう事前に全カットの絵コンテを描いた。

 タングのキャラクターについては「人間の7、8歳の男の子のイメージです。健とタングが友だちであり、疑似親子にも見えるような関係性にしたかった。そういう子ども感は自分の中で意識して作りましたね」と言う。

 VFX(視覚効果)の担当は「シン・ウルトラマン」(2022年)などに携わった映像制作会社「白組」。タングの外見や動き、劇中の背景も手掛けており、仕上げ作業は9カ月に及んだ。三木監督は「タングがかわいく見えるのはどういう動きなのかというのは、撮影が終わってから付け足した部分が多いんです。本当にちょっとした動き一つでかわいく見えたり見えなかったりするんですね。実写部分をベースに、白組のスタッフと世界観も含めて一緒に作り上げていく感覚でした」

三木孝浩監督(スターダスト提供)

 「タング」は今夏公開の3作品のうち最初に撮影した。企画のオファーを受けてから約4年をかけた労作で、自身が好きな1980~90年代のハリウッド映画へのオマージュも盛り込んだ。「脚本段階から『レインマン』(88年)は意識していて、映像的にも健とタングが並んで歩いているシーンはまさに同作をイメージしました。健が住んでいる町並みも童話的な空気感を出そうと、『シザーハンズ』(90年)ぽい感じにしていますよ」とこだわりを話す。

 地元徳島のファンに向けては「昔見ていたハリウッド映画の数々をオマージュして、徳島で生まれ育った頃を懐かしく思いながら撮っていたので、その辺を感じてもらえたらうれしいですね」。続けて「ファミリー向けではありますが、大変な今の世の中で心が少し疲れている大人にも見てもらいたい。気分がおおらかになって、ポジティブに自分と向き合える作品になっています。この映画が自分のことを見つめ直すきっかけになってくれたら」と語った。(植田充輝)

©2015 DI ©2022 映画「TANG」製作委員会

『TANG タング』

8月11日(木・祝)全国ロードショー

<スタッフ>
原作: デボラ・インストール『ロボット・イン・ザ・ガーデン』(松原葉子・訳 小学館文庫)
監督: 三木孝浩
脚本: 金子ありさ
音楽: 服部隆之
主題歌:「Always You」/milet(SME Records)
配給:ワーナー・ブラザース映画

<キャスト>
二宮和也
満島ひかり / 市川実日子
小手伸也 奈緒 京本大我(SixTONES)
山内健司・濱家隆一(かまいたち) 野間口徹 利重剛 景井ひな
武田鉄矢