コンビニエンスストアが転換期を迎えている。消費低迷で伸び悩むスーパーなどを尻目に右肩上がりに店舗網を広げてきたが、徳島県内の店舗数は2016年11月の344店から減少傾向となり、18年5月には333店と11店減った。売上高は11カ月連続で前年を下回る。市場が飽和状態との指摘もある中、各社は出店競争から一転、改装など既存店の収益力強化に力を入れている。
県内のコンビニ店舗数は、1988年にローソン、2004年にファミリーマート、13年にセブン―イレブン・ジャパンと大手3社が次々に進出し、右肩上がりに増えてきた。3社で県内店舗の9割以上を占める。だが、ここに来てその勢いが鈍化している。
四国経済産業局の統計によると、県内のコンビニの店舗数と売上高の前年同月比の推移は≪別表≫の通り。売上高は17年7月から前年割れが続く。
「近年は店舗の総数を増やしておらず、既存店の強化に力を入れている」。県内で最多の136店(6月末時点)を展開しているローソンは、県内での出店戦略をこう説明する。決算期末で比較すると店舗数は16年2月末から増減がない。一方で、17年3月からの1年間で既存店10店の改装や移転を行った。
統合したサークルKとサンクスのファミマへのブランド転換を進めるユニー・ファミリーマートホールディングスは「出店はより厳選して行っている」、セブンも「採算性を判断しながら出店は続ける」とする。しかし、既存店の質の向上と両輪で取り組む構えで、各社とも新規出店路線から既存店の収益性重視へとシフトしてきている。
ファミマは今期、地域に根差した店づくりをテーマに、店舗ブランド転換や改装に合わせてイートインスペースを拡充するほか、県内では車社会に配慮して駐車場も広げ、魅力アップを図る。商品力を売りにするセブンは地域のニーズに合わせた商品開発やサービスの向上に注力するという。ローソンは人口が少ない地域で移動販売を近く始める予定。
県内のコンビニを巡る動向について、徳島経済研究所の蔭西義輝上席研究員は「コンビニ同士に加え、勢力を拡大させている24時間営業のスーパーや、ドラッグストアなど他業態との競争も激化している。こうした厳しい状況は当面続くのではないか」と分析している。