藤田元治市長

 10日、7月の参院選で美馬市長の地位を利用して市職員に特定候補への投票を依頼したとして、徳島簡裁から公選法違反罪(公務員の地位利用、事前運動)で罰金30万円の略式命令を受けた藤田元治市長(60)。約6年間過ごした市役所で辞職会見に臨み、「ひとえに市の発展と市益の拡大のためだった」と動機を明かした上で、「自分の行為を弁明するつもりはない」と陳謝した。

 予定時刻の午後6時半すぎ、黒のスーツに身を包んだ市長が険しい表情で会見場に姿を見せると、報道陣のシャッター音が響いた。市長は用意した資料に目を落としながら、立ったまま検察の処分内容などを読み上げ「任期半ばで職を辞することはざんきの念に堪えない」と頭を下げた。

 続いて市長は「美馬市発展に心血を注いできた政治家藤田元治のうそ偽りのない心情を申し上げたい」と切り出した。自民党から比例代表で立候補して再選された足立敏之氏を支援した理由について、「足立氏は元国交省の官僚で、河川改修や国土強靱(きょうじん)化をけん引する参院議員。美馬市発展のためにそのキャリアと政治力を発揮してもらおうと思った」と説明した。

 その上で、足立氏本人や後援会から現金や物品などの利益供与は受けていないと強調。足立氏の支援を巡り、職員に対して人事面での優遇や冷遇を示唆したこともなかったとした。

 最後に6年間を振り返る中で「素晴らしい市民、職員とともに市政運営ができた。そこに関しては本当に感謝したい」と述べると、涙を浮かべて、無念さをにじませた。

 会見を傍聴した市議会の郷司千亜紀議長は「藤田氏は私利私欲のために行動するような人ではなく、辞職という結果となり残念としか言いようがない」と話した。

 市長から足立氏のパンフレットを渡された30代女性職員は「市長として軽率な行動で、配ってる時に『大丈夫なんかな』と思っていた。一連の経緯や自身の進退について市長から直接、職員に説明してほしかった」と語った。