海部川流域で室町時代から大正時代にかけて作られ、戦国武将に愛用された「海部刀」をテーマにした海陽町のイメージソングができた。鳴門市出身の舞踏家の故檜瑛司さんが1992年に作った詩に、同町出身の作曲家小島有利子さん(52)=東京都在住、大学教授=が町教委の依頼を受けて曲を付けた。町制10周年記念事業の一環で、8日、同町四方原の海南文化館ホールで開かれる海部刀をテーマにしたイベントで初披露される。
タイトルは「君知っているかい海部刀」。詩は「きれいなきれいな刀だよ 川の流れをそのままに 鍛えたような刀だよ」と、町の豊かな自然と重ねながら海部刀の美しさをたたえている。小島さんは、田園風景を想起させる穏やかでゆったりした曲を作った。
檜さんは、旧海南町の文化団体の依頼を受け、同町の「海」「山」「川」を題材にした芸能組曲の三部作を手掛けた際、住民へのプレゼントとして海部刀の詩を作った。町教委は、町制10周年を機に歌として広めようと今春、地元出身の小島さんに作曲を依頼。9月に完成した。
8日は、住民でつくる合唱グループ「たんぽぽ」のメンバー30人がピアノ演奏に合わせて歌を披露する。岡澤恵美子代表(74)=同町四方原、学習塾経営=は「親しみやすく、とてもすてきな曲。子どもからお年寄りまで歌ってもらえるよう、しっかり練習したい」と意気込んでいる。
町教委は今後、小学校などでも歌ってもらう考え。岡田啓教育長は「古里の歌として、皆さんに長く歌い継いでもらえたら」と話している。
君知っているかい海部刀
君知っているかい海部刀
きれいなきれいな刀だよ
川の流れをそのままに
鍛えたような刀だよ
きっときっと刀をうった人たちは
きれいな心の刀鍛冶
ひかり静かに目にしみる
心がいつか洗われる
こんな刀がふるさとの
ぼくらの山にかくれている
君知っているかい海部刀