共同オフィスとしてリノベーションが進む旧吉川医院=阿波市吉野町柿原

 阿波市内の移住経験者らでつくる「あわ移住協力隊」と地元の木工店が、同市吉野町柿原にあった産婦人科・旧吉川医院を改装し、共同オフィス「ART Village(アートビレッジ)!」を整備した。空き家になっていた病院施設を自前で改修。インテリアコーディネーターやIT関連の事務所が入居している。他にも、カフェやパン屋などが8月に開店しており、地域ににぎわいが生まれている。

 吉川医院は1955年ごろ、婦人科・内科として開院。出産ができる市内にある数少ない病院だったが、2008年に院長が引退して閉院した。約1980平方メートルの敷地には診察室などがあった旧館(木造2階建て)のほか、93年に整備した新館(鉄筋コンクリート2階建て、延べ約458平方メートル)、14床を備えた看護棟(木造平屋)、医師らが住んでいた居宅棟(鉄筋2階建て)が並ぶ。

 昨年3月、空き家になった医院を活用したいと、大家の澤田宏子さん(75)=徳島市南佐古七番町=があわ移住協力隊に相談。協力隊が阿波市阿波町王地の木工店・エンジェルズダストで働く宗本恵一さん(72)の協力を得て改修し、共同オフィスとして運営することに決めた。水道や照明の整備、医療機器の処理は宗本さんが友人2人と行い、費用を最小限に抑えた。

 今年1月に改修を始め、3月にオープン。旧館、新館、看護棟の各部屋を18区画に分けて月1万円で貸し出し、市内外からカフェやインテリアコーディネーター、IT事務所などが入った。利用者は用途に合わせて自身でリノベーションする必要がある。

 8月に営業を始めたカフェ「A―BAGEL(エーベーグル)」は、かつて受付・待合室として使っていた新館のスペースを活用した。出店場所を探していた店主の竹本敦子さん(48)=同市土成町=が口コミでオフィスの存在を知り、建物の外観に引かれて入居を決めた。竹本さんは「魅力的な場所なので、多くの人に集まってほしい」。

 残りの居宅棟は移住者向けのゲストハウスに改修する考えだ。澤田さんは「老朽化していくのを待つだけだった建物が、見違えるようで感動した」と語った。