阿波市出身の映画監督三木孝浩さん(47)に今夏公開3作品について聞く連載の最終回は、26日公開の「アキラとあきら」。倒産した町工場の息子と大企業の御曹司という対照的な境遇で育った山崎瑛(竹内涼真さん)と階堂彬(横浜流星さん)が同じ銀行に同期入社し、それぞれの宿命に翻弄(ほんろう)されながらも、ライバルとして切磋琢磨(せっさたくま)する姿が描かれる。出演者や作品へのこだわり、思いを語ってもらった。

©2022「アキラとあきら」製作委員会
©2022「アキラとあきら」製作委員会

 アキラとあきらは「半沢直樹」など数々の著作が映像化されてきた池井戸潤さんの同名小説が原作。三木監督が池井戸作品を手がけるのは初めてで、「オファーを受けた時はびっくりしましたけど、池井戸さん原作の映像作品は好きなのでうれしかった」と言う。その上で「若い主人公2人が壁にぶち当たりながらも成長していく展開は青春ものの要素もあるので、今までの池井戸作品とは違ったフレッシュな空気感を期待されたのだと思う」と分析する。

 竹内さんとは「青空エール」(2016年)、横浜さんとは「きみの瞳(め)が問いかけている」(20年)以来の再タッグとなった。竹内さんについて「前回の頃は自分のお芝居で精いっぱいでしたけど、今回は全体を引っ張る意識が持って、現場でもいろいろと提案してくれて、すごく頼もしかった」。横浜さんについては「お芝居ではキャラクターの気持ちが揺れる瞬間をちゃんと表情にも出せるし、しかも自分の内面からしっかりと心を動かしている。その繊細さが素晴らしい」と魅力を語る。

山崎瑛役の竹内涼真さん(©2022「アキラとあきら」製作委員会)
階堂彬役の横浜流星さん(©2022「アキラとあきら」製作委員会)

 今回は映画として物語の緊張感を高めるため、原作よりも2人のライバル関係を強めた。「バチバチとした役者バトルになった方が盛り上がるんじゃないかと、現場では2人の対抗心をたきつける感じで進めました。反目し合う2人が最後の最後にタッグを組む面白さは少年漫画のヒーローものみたいで、ワクワクしながら撮りましたね」

 さらに、終盤にこれまで映像化された池井戸作品へのオマージュも込めたという。「結末への過程は原作通りですけど、これまでの池井戸作品を前提として、観客の皆さんが期待する勧善懲悪的な部分と、それを少し変えて裏切る要素も映画オリジナルでみせている。その辺を注目してほしい」と述べた。

三木孝浩監督(スターダスト提供)

 三木監督は改めて今回の3作品を振り返り、「ジャンルもばらけたので、それぞれに違う筋肉を使った感じ。どの作品も違う楽しみ方で撮影に臨めました」と充実感を漂わせる。

 「僕は毎回、見た後に『人生って素晴らしい』と、明日に希望を持てるような作品になればいいなと思って作っているんですよ。3作品はジャンルが全く違いますけど、その気持ちは共通している。どの作品でも見てもらって、少しでもポジティブな気持ちになってもらえたらうれしいですね」と締めくくった。(植田充輝)

「アキラとあきら」©2022「アキラとあきら」製作委員会

『アキラとあきら』

8月26日(金)全国東宝系にてロードショー

<スタッフ>
原作: 池井戸潤『アキラとあきら』(集英社文庫刊)
監督: 三木孝浩
脚本: 池田奈津子
音楽: 大間々昴
主題歌:「ベルベットの詩」/back number(UNIVERSAL SIGMA)

<キャスト>
竹内涼真 横浜流星
髙橋海人 上白石萌歌 / 児嶋一哉 満島真之介 塚地武雅 宇野祥平
奥田瑛二 石丸幹二 ユースケ・サンタマリア 江口洋介