2015年度の徳島県文化賞に徳島ペンクラブ顧問の山下博之さん(83)=徳島市川内町富吉=が選ばれた。長年にわたり本県の文芸活動の振興に尽力し、作家、研究者としても積極的な活動をしてきたことが評価された。将来の活躍が期待される個人・団体に贈られる阿波文化創造賞は箏曲家の遠藤綾子さん(48)=石井町石井=に決まった。飯泉嘉門知事が2日、定例会見で発表した。
山下さんは阿波人形浄瑠璃の代表演目である「傾城阿波の鳴門」に登場する「阿波の十郎兵衛」、徳島市出身の作家海野十三(1897~1949年)を研究。99年には「私本阿波の十郎兵衛~史実と虚構のはざまから~」で県文化協会出版文化賞を受賞した。
2002年4月には四国大付属図書館第8回企画展「海野十三の世界」を企画。08年1月の県立文学書道館の特別展「生誕110年記念 日本SFの父・海野十三」にも協力した。現在も海野十三の会会長を務める。
県文化協会理事、徳島ペンクラブ会長、県文化振興財団理事などを歴任。とくしま県民文芸、とくしま文学賞、県文化協会出版文化賞の選考委員として県の文化振興に携わった。08年に県知事表彰、11年に地域文化功労者文部科学大臣表彰を受けている。
遠藤さんは現代箏曲の第一人者である故沢井忠夫らに師事し、演奏活動を通して日本の伝統音楽の普及に取り組んでいる。伝統楽器の枠にとらわれないさまざまなジャンルとのコラボレーションで邦楽の新しい魅力を発信している。
10年に鳴門教育大大学院教科・領域教育専攻を修了し、同年から県邦楽協会常任理事、14年から事務局長を兼務。伝統文化の継承にも尽力しており、同協会では文化庁の委託を受けて県内の音楽科教員らとともに邦楽指導の教材を作成した。
県文化賞の贈呈は8日に山下さん宅、阿波文化創造賞は26日に県庁で行う。