美馬市議会は15日の臨時会で、公選法違反罪で罰金30万円の略式命令を受けた美馬市の藤田元治市長の辞職に全会一致で同意した。県警が7月27日に市役所を家宅捜索してから約3週間。この間、市議会は真相究明を図るどころか、藤田氏の擁護に回った。市民から「なれ合いが過ぎるのではないか」と批判の声が上がった。

 事件を受け、市議会は8月1日以降、全員協議会や会派代表者会議を非公開で開いた。主な議題は真相解明ではなく、藤田氏の市長失職を避けるため、徳島地検に「寛大な処分」を求める嘆願書を提出することだった。一部の市議から「(嘆願書の提出は)行政を監視する市議会本来の役割から離れている」と慎重な意見があり、全会一致とはならなかったが、市議18人中11人と元市議2人の署名で提出された。

 2020年5月の市長選で藤田氏が無投票で再選された際、当時の市議18人全員が推薦名簿に名前を連ねた。今年4月に無投票当選した現在の市議の顔触れは当時とほぼ変わらず、市議会はオール与党の状態。藤田氏が出席した12日の全員協議会や15日の臨時会では、市議から藤田氏を追及する質問は出なかった。

 嘆願書に署名した市議の一人は「私欲のない藤田氏の人柄を一番知っている自分たちが検察に対して声を上げなければならない」などと説明した。しかし、市議は市政をチェックし、市長ら理事者に緊張感を持たせるのが責務だ。藤田氏と市議との「なれ合い」が、白昼堂々、市役所で市職員に特定候補のパンフレットを配るという違法行為を許したのではないか。

 市長選は10月2日投開票と決まった。どんな人物を次期市長に選ぶかを考えるだけでなく、市長と市議会との関係についても見直す機会とすべきだ。(西川拓)