商品を無料配布して高齢者のニーズを聞き取るとくし丸の市場調査=徳島市内

 移動スーパー事業を全国展開する「とくし丸」(徳島市)が担う高齢者の市場調査事業が好評だ。顧客との顔が見える関係を生かし、企業から依頼された新商品を無料配布して感想を聞き取っており、企業側はニーズの把握や商品改良に役立てている。

 事業は2013年、移動販売先の高齢者を対象にスタートした。調査エリアや車両台数を決め、販売パートナーのドライバーが商品を無料配布。次回訪問時に感想を聞き、ニーズが高ければ移動販売の商品にも追加する。とくし丸は週2回の対面販売を行っているだけに商品に関する生の声が聞き取りやすいのが強みだ。

 調査を依頼されるのは食品や生活雑貨が多い。中でも評価が高かったのは、保存料を使わずに常温で長期保存ができる菓子パンだ。使うのを恥ずかしがる高齢者も多い尿漏れパッドは、無料配布をきっかけに「便利だ」と、とくし丸に注文する人が増えた。

 また、大手牛丼チェーンが具材を柔らかくしたレトルト商品をアプローチしたところ、「もう少し量があった方がいい」との意見が一定数あった。チェーンは販売戦略に生かすという。

 今年8月には、京都市の老舗菓子問屋の依頼で高齢者向けのおかきを配った。硬さを一般的なおかきの10分の1にした商品で、徳島など中四国5県の73台を通じて紹介された。これらサンプリング調査の依頼は年間数件あり、22年は2桁ほどに増える見通し。

 他にも移動販売に合わせ、業者と連携して電動シニアカーの割引販売をするなど、高齢者のニーズに合った商品を発信している。移動販売車は5月時点で全国1千台を超え、住友達也取締役は「とくし丸がインフラとして成長し、商品の調査や発信機能が高まっている。調査の受注増を目指すとともに、お年寄りに喜んでもらうことで魅力アップにつなげたい」と話している。