空席が目立った南内町演舞場=13日、徳島市南内町1

 15日に閉幕した徳島市の阿波踊り。街中で3年ぶりにぞめきが響いた一方、新型コロナウイルスの影響は避けられなかった。感染者が急拡大する第7波の真っただ中で開かれた今夏の阿波踊りを振り返る。

 「大盛況のうちに幕を閉じました」。閉幕後、主催した「阿波おどり未来へつなぐ実行委員会」の公式ホームページにこんな文言が躍った。

 3年ぶりに演舞場が設けられた街では、踊り子たちの笑顔がはじけた。演舞場では3年分の思いをぶつけ、街のそこかしこでは輪踊りが自然発生した。踊り子と観客が一体となる光景も見られた。

 しかし、座席には空席が目立った。

 前夜祭が行われた11日正午のアスティとくしま。開始直前にもかかわらず、観客の姿はまばらだった。用意された約3200席は半分以上が空席。「いつもと違う夏になるかもしれない」。コロナ禍前は7~8割が埋まっていただけに、ベテランの踊り手ら関係者は驚くしかなかった。

 3年ぶりの復活となった有料演舞場も空席が目立った。コロナ禍前の4カ所から2カ所に半減したため、1カ所当たりの入場者が減ることはないとの期待もあったが、開幕までにチケットが完売していたのは初日の藍場浜演舞場の第1部だけ。阿波おどり振興協会の総踊りが人気を集める南内町演舞場の第2部ですら完売とはならなかった。2日目以降も空席が目立った。

 実行委は当初、演舞場などのチケット販売をインターネットに限定していた。ところが、開催が迫った9日になって、当日券を現地販売する方針に転換。事務局の市は「近くの人は直前に来場を決めるため、利便性を考えた」とするものの、空席を解消するための窮余の策だった印象は拭いようがない。

 実行委は第1回会合で、前夜祭、選抜阿波おどり、有料演舞場のチケットが85%売れるという想定で収支計画案を承認した。立案した事務局の市にぎわい交流課は「過去の販売実績を参考に、3年ぶりの桟敷設置への期待感も加味して試算した」と説明する。第3回会合で有料演舞場の座席数が増やされたため、7割が収支の分岐点とされる。

 今夏のチケット数は約6万8千枚。団体向けに販売済みと公表された5千枚を除くと、収支の均衡には約4万3千枚を売ることが必要となる計算だ。

 キョードー東京を中心とした民間事業体への運営委託を打ち切り、行政、経済団体、踊り団体などで新しい実行委を組織して臨んだ初めての夏。「期待感」ではじいた想定に無理はなかったのか。事務局の市は「現時点ではチケットの販売状況は明らかにできない。近く総会を開いて報告する」としている。