絶滅危惧種ニホンウナギの稚魚シラスウナギの不漁を背景に、徳島県内のウナギ料理店やスーパーで値上げが相次いでいる。不漁は東アジア全域で深刻となり、中国産の価格も大幅に上昇。20日の「土用の丑の日」に向けて需要が高まる中、家計を直撃している。
県産ウナギを主に扱う徳島市北田宮2の料理店「うな久」は、仕入れ値が約3割上がったため、3月中旬からうな丼の価格を2980円から3380円にした。
店主の安部賢さん(59)によると、2011年は2千円だったが、仕入れ価格の高騰に耐えきれず、値上げはここ数年で5度目となる。「精いっぱい抑えた価格。これほど不漁が続くと思わなかった。お客さんに申し訳ない気持ちでいっぱい」と、安部さんの表情はさえない。
スーパーのキョーエイでは4月から、県産ウナギのかば焼きが1980円から2580円になった。仕入れ値が1キロ6千円から1万円に上がったのが影響した。
同時期に中国産も980円から1580円に引き上げた。国内外を合わせた売り上げは当初落ち込んだが、厳しい暑さとなった7月中旬に持ち直し、2週目は昨年を上回った。
かば焼きを熱心に品定めしていた同市山城町東浜傍示、会社員横溝薫さん(31)は「簡単には手が出ないが、1年に1度ぐらいは食卓に並べたい」と話した。
イオンスタイル徳島も約15%値上げした一方、骨を取ったサバやナマズ、豚バラ肉のかば焼きを代用品として販売している。
県漁業調整課によると、17年度漁期(同年12月15日から4カ月間)の県内のシラスウナギ採捕量は131キロで、過去10年間で最少。昨期(463キロ)より7割以上減り、徳島市の養鰻(ようまん)業者によると、1キロの取引値は約2倍の150万円に達することもあった。
県外や中国、台湾でも深刻な不漁が続く。土用の丑の日に間に合わせるには、漁期の前半に稚魚を確保しなければならない。今漁期が始まった昨年11月から今年1月にかけて漁獲が特に落ち込んだことが取引値を高騰させた。