子どもたちが夏休みで家にいて、料理をする機会が増えたという人も多いかもしれません。家で料理して家庭ごみの3割ぐらいは生ごみなんですよね。先月はゼロウェイストキッチンの取り組みについて書いてくれましたが、今月は生ごみが少なくなる料理のコツを、教えてもらえませんか?

「美味しい!」と平らげてしまう料理を

 今年のお盆、徳島では3年ぶりに阿波踊りが開催された。熱気を帯びた街の様子が、テレビや新聞、SNSから伝わってくる。私はというと、毎日カフェで料理をしていた。行動制限なしのお盆。どれくらいのお客さまが来店されるか、予想がつかなかったが、ありがたいことに多くのお客さまが来てくれた。次々と食事を提供していったけれど、皿に料理が残って戻ってくることはほとんどなかった。「食べ残しが少ないですね」。これまでインターン生や、INOWプログラムのゲストを迎えたときにも、驚かれたことがある。

 当たり前だが、残飯が少なければ、生ごみとして廃棄する量も少なくて済む。だから大切なのは、美味しく食べてもらうこと。

 「残さず全部食べてしまう、美味しい料理を作れるように努力します」。カフェの「クレド」にはこう掲げている。「クレド」とは、全スタッフが共有している価値観や信念をまとめたものだ。大学生の頃、リッツ・カールトンというホテルで1カ月ほどインターンをした。そのときに配られたのがクレドだった。これを手本として、私たちのカフェでも、ゼロ・ウェイストなカフェを続けるために、オープン2年目に独自のクレドをつくった。メニューブックにも挟み込んで、お客さまにも見てもらっている。

カフェ・ポールスターの「ゼロ・ウェイストクレド」

オリーブオイルと塩を持って旅へ

 8月9日・10日にカフェで2回目となる「ゼロ・ウェイストキッチン」を開催した。その際、シェフの小林幸さん(佐那河内村在住)と管理栄養士の金村真友子さん(鳴門市在住)に、料理をする際の工夫を聞いてみた。
 「食感を良くするために、こんにゃくを入れたり、コクを出す油揚げを加えたりする」「不足しがちなタンパク質は、豆を多めに入れることで補う」など、素材の使い方や栄養に詳しいお二人ならではの答えが返ってくる。

「ゼロ・ウェイストキッチン」では、お客さま自らにご飯を入れてもらう。 自分の食べ切れる量を知ることも、生ごみ削減につながる

 その他、印象的だったのは、野菜が多い料理のメリハリの付け方。旬の野菜を使って料理すると、意図せずに野菜のみの料理ができ上がることがある。野菜だけの料理は味が優しくなりがちだ。そのため、スパイスやお酢を加えたり、ネギやニンニクなどの薬味を使ったりすることで、味に強弱がつき、バランスが良くなるという。

 調味料にこだわるのも一つの手だ。オリーブオイル、塩、しょうゆ、砂糖など基本的な調味料について、自らが美味しいと思うものや、サポートしたい製造者のものを使うなど、こだわりを持つ。すると、いつでも美味しい料理を(この場合、自分が好みの味を)作りやすくなる。私は休暇で旅に出る時に、キッチン付きの宿を借りることがある。出向いた先の地域で産直市に立ち寄り、食べたい野菜を見つけたら、持参したオリーブオイルと塩で料理をする。新鮮な野菜と好みの調味料。これだけで美味しい料理は完成する。

キュウリを煮込む?!

 カフェのスタッフから、お化けキュウリは煮物にしているという話を聞いた。「お化けキュウリ」とは、巨大化したキュウリで、太さが直径5cmほどにもなる。この時期、上勝でも大量に収穫される。正直、私は漬物くらいしかレシピを知らず、農家さんからいただいても、どう使い切ればいいかと頭を悩ませる食材の一つだった。「キュウリは煮込むと、大根のような食感になる。味が染み込んでいて美味しい。煮物にするなら、お化けキュウリの方がいい」とスタッフから聞いて、私は驚いてしまった。

野菜たっぷりのゼロ・ウェイストキッチンランチ。キュウリのみそ汁は新鮮だった

 先日のゼロ・ウェイストキッチンでは、キュウリがみそ汁の具材として出てきた。キュウリを一度だしで煮て、提供する直前に加える。生で食べることしか考えていなかった私にとって、キュウリを煮込んだり、ゆでたりすることは新鮮だった。さまざまな人たちとの情報交換から、料理のバリエーションが広がる。これで大量のキュウリも、美味しく使い切ることができそうだ。

 だしを取った後の昆布。中国にルーツを持つINOWマネジャーのリンダは、この昆布を見て「もったいない」と言い、祖母から教わったというレシピで副菜を作った。繊維に沿って昆布を切り、ニンニクとショウガ、ごま油と一味唐辛子、黒酢を加えて混ぜる。ただそれだけなのに、ご飯がすすむ、立派な一品になる。

 「試してみること」が素材を美味しく使い切るためには必須かもしれない。「これ、だしに使えないかな?」「細かく切ったら、ふりかけにできるかな?」。そんな好奇心が、生ごみを作らず、食材をレスキューすることにつながっていく。

 東輝実(あずま・てるみ) 1988年生まれ。上勝町出身。関西学院大卒業後、町へ帰郷し、夫らと合同会社RDNDを設立し、カフェ・ポールスターを経営。NPO法人ゼロ・ウェイストアカデミー事務局長を経て、現在は仲間とともに上勝町で滞在型教育プログラム「INOW(イノウ)」を展開している。

 

東さんのコラム「Rethink 上勝町のゼロ・ウェイスト」は毎月第3金曜日に公開します。