牟岐町沖で3日、体長10メートルほどのザトウクジラ1頭が姿を見せ、水しぶきを上げて迫力あるダイブを披露した。同町沖ではイルカやスナメリが現れることがあるが、「クジラは見たことがない」と、目撃した地元の漁師らは驚いている。
午前11時半すぎ、古牟岐地区と津島の間の海域に現れ、マリンスポーツをするため近くの出羽島を訪れていた英国出身の英会話講師ニコラス・ラッセルさん(50)=兵庫県在住=が撮影に成功した。30分ほど、跳び上がったり、ひれで海面をたたいたりし、ラッセルさんは「まるで遊んでいるようだった」と言う。
ザトウクジラは、夏は千島列島や米アラスカ周辺で過ごし、冬は沖縄や小笠原諸島周辺などに移動して繁殖する。県立博物館の佐藤陽一自然課長によると、県の沖合でザトウクジラが目撃されたのは、海陽町沖に姿を見せた2010年以来。「南へ回遊している途中なのかもしれない」と話している。