全国自作視聴覚教材コンクール(日本視聴覚教育協会主催)の2015年度中学校部門で、鳴門市の鳴門第一中学校の人権劇「帰郷」が第2席の優秀賞に選ばれた。太平洋戦争中に米潜水艦の攻撃を受け、鹿児島県徳之島沖で沈没した輸送船「富山丸」をテーマにした作品で、平和を訴える内容が高く評価された。
1944年6月の富山丸沈没で夫を亡くした女性とその娘が広島市から徳島市の実家に移り住み、徳島大空襲に遭いながらも原爆被害を免れたというストーリー。同校の反田卓教諭が、戦争の悲惨さを語り継ごうと、祖母と母の実体験を基に脚本を手掛け、生徒会役員ら25人が出演した。
劇はDVD(33分)に収録。これまでに同校の文化祭をはじめ、鳴門市戦没者追悼式や、富山丸の遺族会が徳島市の県護国神社で開いた命日祭で上映されている。
学徒動員の女生徒役で出演した3年の谷﨑海友(みゆ)さん(15)は「劇を通じて自分と同じ年頃の女性が戦争に巻き込まれた当時のことを身近に感じることができた。これからも戦争について学びたい」と話していた。
鳴門第一中は昨年度の同コンクールでも戦争をテーマにした人権劇「命(ぬち)どぅ宝(たから)」で優秀賞を獲得している。本年度の中学校部門には全国から9作品の応募があり、最優秀賞の該当作はなかった。