お盆明けに新型コロナウイルスの感染者数が急増していることについて、飯泉嘉門知事は、徳島市の阿波踊りが主な要因ではないとの見方を示した。一方、主催した「阿波おどり未来へつなぐ実行委員会」は「十分な感染対策に取り組んでいた」と釈明した。感染拡大下での阿波踊りについて、徳島新聞「あなたとともに~こちら特報班」が公式LINE(ライン)登録者に尋ねたところ、さまざまな意見が寄せられた。
アンケートは24、25両日に自由記述で募り、301人が回答。約9割が「阿波踊りと感染拡大は関係がある」との見方を示した。
3年ぶりに街中で踊りが開かれた様子に、不安を感じた人は多い。徳島市の60代女性は「密」になったりマスクを着けていなかったりした見物客に対し、「人混みの中で踊り連と客は近く、踊り手も密集していた。今の感染急拡大は予想できた」と指摘。男性からは「帰省や他の祭りなど他の要因もあるが、参加人数が桁違い。関係ないと言うのは苦しい」との声があった。
感染症対策や祭りの規模を疑問に感じた人からは「踊りに参加した知り合いがマスクを外すよう強制された」との意見も。屋外での踊りについては「踊り手専用の移動ルートを設けたり、出入り口に消毒液を置いたりするべきだった。何もかも対策が中途半端に感じた」と改善を求める声もあった。
感染拡大と踊りの関連を不明とする県などの見解に首をかしげる人は少なくない。男性は「行動制限なく通常のお盆を過ごせば、当然の結果だ」とした上で「開催を決定した以上は、責任逃れのように取れる発言は避けるべき」。女性は「踊り連で感染者が多発しているにもかかわらずクラスター(感染者集団)が認定されていないのは不思議」と疑問を呈した。
一方、踊りの開催に理解を示す意見も一定数寄せられた。徳島市の40代女性は「徳島らしい活気あるお盆がよみがえり、踊った人も見た人も笑顔があふれた」。吉野川市の50代女性は「旅館や飲食店など救われた業種は多い。コロナ禍でさび付きかけた県民の心を踊らせてくれたことは喜ばしい」と評価した。
阿南市の40代男性は、踊りと感染拡大との因果関係を明確にするよう求めた上で「主催者が反省や改善を図り、阿波踊りが県民の誇れる魅力であってほしい」と望んだ。