想像を超す暑さである。泥水を含んだ畳は見た目より重く、それが何枚もとなれば、男4人がかりでも運び出すのはかなりきつい

 西日本豪雨の被災地、岡山県倉敷市真備町でボランティアに参加した。人口は約2万3千人。町の約3割が水没、4千棟以上が浸水し50人が亡くなっている

 派遣された箭田地区の家並みは、うっすら茶色に染まっていた。ひっくり返ったままの車がある。道路沿いに使えなくなった家財道具が延々と。あまりに大量で収集が追い付いていない

 ようやく来てもらえた、と住人の男性。5人1組でタンスや冷蔵庫を戸外へ搬出した。ひょいと持ち上げようとした引き出しも衣類が水を含んで重い。泥は2階にも広がっていた。止まった時計が4時20分を指す。やりきれなさそうに男性。「71歳になって、わが家を失うとは」

 活動は約2時間で、20分に10分を目安に休憩した。休み休みの作業に気が引けるが、倒れればかえって迷惑だ。猛暑の被災地では実際、熱中症が後を絶たない

 市災害ボランティアセンターによると、休日で2千人が支援に入っている。「それでも人手が足りず、手つかずの地域もある」。岡山、広島、愛媛。それほど遠くない所に、手助けを求める人がいる。高速道路の無料制度もあり、出掛ける前には地元の社会福祉協議会などへ相談を。