崩落した市道に架けられた橋。住民の集団避難に役立てる=三好市山城町粟山

 三好市は20日、西日本豪雨による土砂崩れで孤立状態となっている同市山城町の粟山集落の住民を、集落外の市営住宅に避難させる。道路の損傷が激しく孤立の長期化が避けられないため、今後心配される土砂崩れや体調を崩した際の救急搬送に配慮して避難先を準備した。道路網の復旧は数年かかる見通しとなっている。

 

 集団避難は今回が第1陣。粟山集落17世帯32人のうち、市の説得に応じた5世帯10人が山城町内の市営住宅に移る。地域コミュニティーを維持しやすいよう、住民がまとまって入居できる住宅を確保した。

 災害時の特例で、避難住民の家賃は無料になる。大きな家財道具は持ち出せないため、エアコンや冷蔵庫、洗濯機を市が用意する。

 市は19日、集団避難に向けて市道の崩落部分に応急的な橋を架け、徒歩で渡れるようにした。20日は市職員14人とみよし広域連合消防本部の消防職員8人を3班に分け、住民の安全確保や荷物の運搬を支援する。

 粟山集落は白川谷川上流に位置し、標高約500~700メートルの斜面に住宅が点在している。道路の寸断で、大半の住民は車で集落外に移動できない。市道には土砂が積もったままの箇所があり、集落内の避難所への移動が困難な住民もいる。

 地滑りが進み、台風などの大雨で新たな土砂崩れに発展する恐れもあるため、市は全世帯の住民の集落外への避難を検討。市職員が水や非常食などの支援物資を徒歩で全戸に運びながら、避難を呼び掛けている。