インフルエンザの予防接種料金が徳島県内の医療機関の多くで値上がりしている。これまで3種類のウイルスに対応していたワクチンが今季から4種類に増え、医療機関への販売価格が昨季の約1・5倍の1500円程度(1人分)に上がったのが要因。予防接種は健康保険が適用されないため、値上がり分が家計を直撃する。流行シーズンを控え、医療現場では「接種を控える人も出てくるのでは」と懸念している。
予防接種料はワクチンの価格のほか、診察料や注射手技料などを含み、医療機関が自由に決めることができる。徳島新聞の調べでは、千~2千円台と安価な医療機関もあるものの、3千円台が多くなっている。
徳島市徳島町2の伊月病院ではワクチンの値上がりを受け、接種料を昨季より200円高い3200円に値上げした。予防接種の効果が表れるには約2週間かかるため流行前の11月中旬ごろから接種する人が多いが、同院の香川春樹薬局長は「接種を控える人が増えればインフルエンザの流行を招く恐れがある。発症や重症化を防ぐためにも接種してほしい」と話す。
大人よりも免疫力が弱い子ども(6カ月~13歳未満)は原則2回の接種が必要となり、費用はかさむ。2歳の息子を持つ同市住吉3の主婦佐藤彩音さん(22)は「家計が苦しい中、値上げは厳しい。自分の接種をやめようかと思ったけれど、子どもにうつしても困るし」と表情を曇らせた。
重症化のリスクが高い65歳以上の高齢者には、自治体が予防接種法に基づいて定期接種の費用を助成している。ワクチン値上げに伴い、高齢者の自己負担額を引き上げる自治体も多い。
県内24市町村の今季の自己負担額は千~1900円と幅広い。上勝町は昨季よりも400円、徳島市は50円それぞれ引き上げて1900円にした。このほか9市町村でも50~300円アップし、13市町は据え置いた。