徳島県内のキャンプ場が盛況だ。利用者数が過去最高を記録するキャンプ場が相次いでいるほか、豪華なキャンプ「グランピング」のサービスを提供する施設も登場し人気を呼ぶ。子どもの頃にキャンプに親しんだ団塊ジュニア世代が家族で利用しているのに加え、会員制交流サイト(SNS)への投稿を楽しむ若者が写真映えするとして詰め掛けているようだ。
美馬市美馬町の県立オートキャンプ場・四国三郎の郷の2017年度利用者数は、前年度比1239人増の1万9020人で、01年度のオープン以来最高となった。大阪や兵庫、岡山、四国3県などの県外客が約8割を占める。
客足が減る秋冬を狙い目に訪れるベテランキャンパーが増えているほか、30~40代の男性が1人でテントを張る「ソロキャンプ」も徐々に広がっている。
松浦郁紀施設長(48)は「キャンプの様子を撮影し、フェイスブックやインスタグラムで発信する人も多い。こうした『口コミ』も利用増につながっている」と強調する。
海陽町浅川の町営オートキャンプ場・まぜのおかは、利用者が3年連続で過去最高を更新した。17年度は1万8290人だった。
まぜのおか内に体育館や温水プールがあるほか、近くに野球場やテニスコートを備える蛇王運動公園があるため、大学などのスポーツ合宿の誘致を強化。秋冬の閑散期の利用者増につながっている。
キャンプ場でテントを借りずに自ら持ち込むベテランの割合も高まっている。北米先住民が移動住居として用いた「ティピー」と呼ばれるテントを設営したり、日よけのタープにLED電球を張り巡らせたりと、おしゃれにこだわる人が目立つようになったという。
グランピングは、「グラマラス(魅力的な)」と「キャンピング」を掛け合わせた造語。欧米で流行し、日本でも各地に施設がオープンしている。従来のキャンプとは違い、ホテル並みの設備や食事が用意され、大自然を楽しみたいが、準備は大変という人たちの心を捉えている。
県内では16年6月、上勝町福原に月ケ谷温泉村キャンプ場パンゲアフィールドがお目見えした。
ニンニク型のテントは直径28平方メートルと十分な広さで、セミダブルベッドが2台置かれている。夕食は近くのイタリアンレストランの料理を味わえる。
県外客の利用が9割で、今年の夏休みはほぼ予約でいっぱい。キャンプ場を運営するパンゲアの野々山聡最高経営責任者(48)は「キャンプをしたことがないが憧れているという人の利用が多い」と話す。
日本オートキャンプ協会(東京)によると、キャンプサイトに車を横付けできるオートキャンプを17年に全国で楽しんだのは、前年比1・2%増の約840万人。5年連続で前年を上回った。
協会は「団塊ジュニア世代が父母になり子どもを連れて行っている」と指摘。「キャンプの価値観がアウトドアを楽しむ以外に多様化し、非日常空間をSNSで発信したいという若者のニーズもプラス要因になっている」と分析している。
用品販売ブースや車レンタル 関連ビジネス活発化
キャンプ人気を受け、専用用品販売やキャンピングカーのレンタルなど関連ビジネスも活発化している。
スポーツ用品販売のスポーツデポ徳島藍住店(藍住町住吉)は17年3月、キャンプ用品製造販売大手スノーピーク(新潟県三条市)の販売ブース(約100平方メートル)を設けた。同社員1人が常駐し、接客している。
同店によると、客層の大半が家族連れで、設営が簡単な初心者向けのテントが人気を集める。ステンレス製のたき火台や、ダッチオーブンなども売れているという。
県内で初めてとなるキャンピングカーレンタル店「NEXT LIFE FC徳島店」(上板町上六條)は17年3月にオープンした。テーブルや水道、就寝スペースなどが整備されたキャンピングカー2台を用意している。
関東方面から四国内を旅行する人の利用が多く、中には10泊以上借りる人も。里見恭章店長(46)は「のんびり車で旅をしたいという人に喜ばれている」と話した。