徳島でのデビュー戦で攻撃陣を引っ張ったFWウタカ=7月21日、鳴門ポカリスエットスタジアム

 

 サッカーJ2徳島ヴォルティスは21日、鳴門ポカリスエットスタジアムで大宮アルディージャと対戦し、2-1で競り勝った。20日に夏の移籍ウインドーが開き、新戦力として登録された元ナイジェリア代表で、2016年J1得点王のFWピーター・ウタカが初出場。ゴールはなかったものの、決勝アシストを記録するなど、デビュー戦から実力の片りんを見せた。 

 得点力不足にあえぐ徳島ファン・サポーターの大きな期待を背負ったウタカ。先発メンバーとしてその名がコールされると大きな拍手が起こり、試合ではボールを持つたびにスタジアムが沸いた。デビュー戦を白星で飾ったウタカは「難しい試合だったけれど、勝ち点3を取れてよかった。全体的にはいいパフォーマンスだったのかなと思う」と徳島でのデビュー戦に手応えを感じていた。

 序盤から前線でターゲットになり、味方からのボールを集めた。ロングボールを受けたり、足元で収めたり。時には味方からのパスを引き出す動きを見せ、ボールを呼び込んだ。ゴール前でボールを落とし、前川大河のシュートにつなげたシーンは代表的な例だった。

 終了間際にペナルティエリアの左サイド寄りでボールを受け、左から右へ切り返して右足でゴールを襲うなど、自ら積極的にゴールを狙う姿勢も披露。シュートを狙うだけでなく、味方の上がりを待ってパスを供給する場面もあり、このところチームに欠けていたゴールへ向かう推進力をもたらし、攻撃に迫力を与えた。

 この日の見せ場は後半21分、岩尾の決勝点をお膳立てしたシーン。中盤で相手ボールを奪い、ドリブルでボールをキープしながら味方の上がりを待ち、ゴール左前へ走り込む岩尾に絶妙のパス。そのボールを岩尾が冷静に右足でシュートし、ゴールネットを揺らした。岩尾は「ずれがなく、絶妙だった。次のプレーに移りやすい形でパスをもらえたことがゴールにつなった」と、ウタカのパスをたたえた。前川も「ウタカはためができるので、中盤が追い越す時間ができる」と、新しい仲間に心強さを感じているようだ。

 チーム合流から1カ月がすぎたが公式戦は1試合目。ウタカは「何人かと何本か、いいタイミングでパスは入ったが、まだ合わない部分も多かったので、これから突き詰めていきたい」と話す。90分のフル出場は3カ月ぶり。「きつい中で、できること、やるべきことは分かっている」と経験豊富なベテランらしく頼もしい言葉を発した。自らの徳島初ゴールはお預けとなったが、前半戦の低迷から巻き返しを図るチーム、声援を送るサポーターにとって大きな希望の灯りをともした活躍ぶりだった。