三好市出身の映画監督蔦哲一朗さん(31)=東京都=が、祖父で池田高校野球部元監督の故蔦文也さんを取り上げたドキュメンタリー映画「蔦監督-高校野球を変えた男の真実」(仮題、約125分)が完成にこぎ着けた。3度の甲子園優勝を成し遂げ「攻めダルマ」の異名で知られた文也元監督の人生を、関係者約40人の証言でたどっている。12月27日、全国に先駆けて地元・三好市で初公開される。
映画は、文也さんの妻で野球部員寮を切り盛りした故キミ子さんら関係者のインタビューを中心に構成した。「やまびこ打線」で1982年夏と83年春に甲子園連覇を果たした時の主力選手である水野雄仁さん、名コンビとうたわれた白川進・元野球部長、戦中の特攻隊員時代を知る茶道裏千家前家元の千玄室さんらの話を収めた。
2014年1月、22年ぶりの甲子園となる第86回選抜高校野球大会への出場が決まり、喜びを爆発させる部員の表情も盛り込んだ。
祖谷地方を舞台にした「祖谷物語-おくのひと」を製作中の11年1月から、取材を進めてきた。当初は14年内に撮影を終える予定だったが、選抜大会への出場決定や取材対象の拡大で、15年7月まで撮影を続けた。現在、仕上げの編集作業を行っている。
哲一朗さんは「祖父のあまり知られていない側面も織り交ぜて『生の蔦文也』を描いた。ようやく皆さんにお届けできるので、反応が楽しみ」と初上映を心待ちにしている。
上映会は三好市池田町の市中央公民館で、午前10時、午後1時、同4時から。哲一朗監督の舞台挨拶もある。観覧無料。このほか県内では▽来年1月17日=北島町立図書館・創世ホール▽同31日=美馬市・脇町劇場オデオン座▽3月13日=阿南市文化会館夢ホール-の3会場でも予定されている。