ひっくり返った水上機の撤去に当たる作業員。事故の緊迫感はあまり感じられない=1959(昭和34)年、本社所蔵写真

ひっくり返った水上機の撤去に当たる作業員。事故の緊迫感はあまり感じられない=1959(昭和34)年、本社所蔵写真

 写っている内容は衝撃的なのに、うっすらと周囲を覆うもやのせいか、構図が整いすぎているためか、なぜか静けさを感じる写真である。

 1959(昭和34)年7月15日、大阪・八尾空港を飛び立った日東航空の水上機が徳島市の吉野川への着水に失敗し、機体が転覆した。

 乗員乗客は5人。飛行機が着水のためスピードを落としていたこともあり、シートベルトをしていなかった乗客1人が軽いけがをしただけで済んだ。一歩間違えば大惨事になる事故だった。

 原因は、陸上飛行場でも運用できるようにフロートを改造して取り付けた車輪の引き込み忘れ。この日は普段使っている大阪・堺水上機発着場がモーターボートの研修で使えず、陸上の八尾飛行場から離陸した。

 そこで操縦士が車輪を出していたことを忘れてしまい、そのまま飛行、着水してしまったのである。

 当時の新聞記事には、けがのなかった乗客は事故現場から足早に姿を消したとある。原因がはっきりしていたからか、あっさりと片付いたようだ。