伊藤直樹(いとう・なおき)さん 1971年、静岡県生まれ。2011年、クリエーティブ集団「PARTY」を設立。現在、代表を務める。京都芸術大情報デザイン学科教授、デジタルハリウッド大客員教授など。文化庁メディア芸術祭優秀賞、グッドデザイン賞金賞、カンヌライオンズ金賞といった250以上の国内外の広告・デザイン賞を受賞している。

伊藤直樹(いとう・なおき)さん 1971年、静岡県生まれ。2011年、クリエーティブ集団「PARTY」を設立。現在、代表を務める。京都芸術大情報デザイン学科教授、デジタルハリウッド大客員教授など。文化庁メディア芸術祭優秀賞、グッドデザイン賞金賞、カンヌライオンズ金賞といった250以上の国内外の広告・デザイン賞を受賞している。

宮城治男(みやぎ・はるお)さん 1972年、小松島市生まれ。大学在学中の93年、学生起業家の全国ネットワーク「ETIC.(エティック)学生アントレプレナー連絡会議」を立ち上げる。2000年にETIC.をNPO法人化して代表理事に就任。社会起業家の育成支援に取り組む。文部科学省参与や中央教育審議会臨時委員などを歴任。多摩大大学院客員教授。

宮城治男(みやぎ・はるお)さん 1972年、小松島市生まれ。大学在学中の93年、学生起業家の全国ネットワーク「ETIC.(エティック)学生アントレプレナー連絡会議」を立ち上げる。2000年にETIC.をNPO法人化して代表理事に就任。社会起業家の育成支援に取り組む。文部科学省参与や中央教育審議会臨時委員などを歴任。多摩大大学院客員教授。

 徳島を元気にする事業アイデア・プランコンテスト「とくしま創生アワード」のウェブセミナーが13日、オンラインであった。神山町で2023年春開校する私立高等専門学校「神山まるごと高専」のカリキュラムディレクター伊藤直樹さん(51)と、起業支援に携わるNPO法人ETIC.(エティック、東京)創業者の宮城治男さん(50)をゲストに迎え、高専設立の経緯や起業への心構えなどについて意見を交わした。

 ―高専設立のプロジェクトに参画したきっかけは。

 伊藤 高専の立ち上げは、まさに起業。寺田親弘さんから声をかけられたときは、スタートアップに誘われたような感覚だった。メンバーの熱に突き動かされた。関わった理由の一つは、美術大で教えていて教育システムの課題を感じたから。高校1年の終わりに理系か文系を選択し、数Ⅲを習わなかったり美術を勉強しなくなったりする。この段階でデザイナーとエンジニアの分離が生じるため、融合した人材は生まれないのではないか。まるごと高専ではどちらも学べる環境をつくる。

 ―神山町での高専開校をどう受け止めるか。

 宮城 地方創生のターニングポイントになるような重要な取り組みだと思う。こんな場所は東京にはない。新しいコンセプトの高専ということで言えば日本の中心は神山にあって、地方と東京の立ち位置が逆転する。「地方は遅れている」といった前提が大きく変わる象徴的な出来事だろう。高校生が将来の起業を視野に学べるのは素晴らしいし、日本の他の教育機関が神山から学ぶという流れができるかもしれない。

 ―いろいろな人とプロジェクトを進める中で何を大事にしてきたか。

 伊藤 高専のミッションに「ベータメンタリティ」を掲げている。物事に完成はなく、常にベータ版である。失敗はない。どんどん挑戦していって、うまくいかないことがあれば改善していけばいいという意味。学校をつくる過程でうまくいかない部分が出てくると、誰を責めるわけでも失敗と見なすわけでもなく、一つ一つをみんなで話し合って改善してきた。 

 宮城 これからの時代、ベータメンタリティという見方はつながりを生み出す鍵になるだろう。何か面白いことを仕掛けていこうと思ったら、答えが見えない世界に挑んでいると自覚し、むしろ楽しんでいるという姿勢が仲間の輪を広げるのではないか。これは、既に組織を運営している人にも当てはまる。

 ―起業をする上で人と人のつながりは欠かせない。

 伊藤 高専のプロジェクトには100人を超えるプロボノ(専門的な知識や技術を生かして社会貢献する人)が関わってくれている。新しいことを始めたとき、熱を持って取り組むと人が動いて渦になる。壁はいくつもあるが、一緒に乗り越える仲間が現れる。高専の取り組みを通し、一生の仲間に出会えたと思う。

 ―起業しやすい環境とは。

 宮城 誰もが多数の人に情報を伝えることができ、世界中に広がる可能性がある。数十年前と比べて、一人が社会に与える影響は大きくなった。そんな力があるのに「起業にはお金や特別な能力が必要」などと思い込んでいる。固定観念にとらわれて行動の制限になっているのではないか。何歳でも、やりたいことがあるなら自分で形にしていける時代に生きている。

 伊藤 昔よりパソコンの価格が手頃になり、処理速度は上がって自分でつくれるものが増えたため、起業やモノづくりは「始めた人が勝つ」と言える。何で差がつくのかというと、その人に熱があって本当にやりたいと思っているかどうか。高専では、学生がやりたいことを見つけられるようサポートしていく。

 ―アワードへの応募や起業を考えている人へメッセージを。

 宮城 少しでも起業に興味があるなら行動すること。創生アワードに出してみるなど、大きなリスクを取らずに身の丈で始められることをやってみてはどうだろう。友達にアイデアを話してみるのもいい。誰かを紹介したり協力したりしてくれるかもしれない。完璧な武器を身に付けてから、と頭で考えるより、小さな一歩を踏み出してみては。

 伊藤 アワードやコンテストは、打ち込めることを見つける好機。私がデザインや広告の賞を取った時を振り返ると、最も自分に素直だった。自分をごまかさず、やりたいことに正直になった時が最もヒットしやすいと思う。自分で好きだと思うプランは、世の中の人に共感されやすい。例えば、普段の生活で自分が何に不便を感じているかを突き詰めると、おのずと良いプランができると思う。ぜひチャレンジしてほしい。

「モノつくる力で、コト起こす人」を 高専設立の狙い 伊藤さんに聞く

 神山まるごと高専のプロジェクトは、働き方を変えるデジタルトランスフォーメーション(DX)サービスを提供する「Sansan(サンサン)」創業者の寺田親弘氏らを中心に3年前に始まった。コンセプトは「テクノロジー×デザインで人間の未来を変える学校」。より良い未来を築くには、デザイナーとエンジニアが高次元に融合した人材が欠かせないと考えている。

 目指す人物像は「モノをつくる力で、コトを起こす人」。自ら課題を発見・解決し、社会に変化を生み出せる人を育てたい。私が担当したカリキュラム構想は「神山サークル」。デザインとテクノロジーの両方を学んでモノをつくる力を養い、起業家教育を通して社会と関わる力を育む。

 モノをつくる力は、言葉と絵、数字、プログラミングの四つで構成され、それぞれに強くなるとパワーアップが期待できる。名だたる起業家の話を聞く授業を設けるほか、学生が起業しやすいようにファンド(基金・資金)やメンター制度(先輩による個別支援)といった仕組みづくりを進める。

 神山で開校するメリットは、町がまるごとキャンパスであること。地域の人と一緒にものづくりができる環境が整っている。サテライトオフィスなど先進的な取り組みがあり、自然豊かで勉強に集中できるのも利点。クラウドファンディングをしたり企業から寄付を募ったりと、多くの協力を得て開校資金が集まった。学費を無料にするための奨学金ファンドも準備中で、家庭環境に左右されず志すことができる学校を目指している。

<事業アイデア・プラン募集>

 とくしま創生アワード実行委員会は、徳島の発展や地域課題の解決、豊かさの創出につながる事業アイデア・プランを広く募っている。サポーターを務める県ゆかりの起業家らが審査、支援する。小中高大学生のアイデア応援企画「ひらめき賞」も実施する。

 計画の実現を目指す「アイデア部門」と、開始後3年以内または立ち上げ段階にある「プラン部門」の2部門で募集。書類審査を経て23年1月27日に徳島市内でプレゼンテーションによる最終審査を開き、グランプリなどを決める。

 ひらめき賞は、小中高大学生から自由なテーマで企画案を募り、優秀なアイデアには商品と最終審査での発表の機会が贈られる。

 締め切りは、アイデアとプランの両部門が11月1日、ひらめき賞は10月3日。いずれもホームページhttps://www.topics.or.jp/list/award/recruitment2022の専用フォームから応募できる。問い合わせは徳島新聞社内の事務局、電話088(655)7331。