三好市出身の脚本家向井康介さん(45)=東京都在住=が共同脚本を務めた映画「マイ・ブロークン・マリコ」(永野芽郁さん主演)が、30日から北島町のシネマサンシャイン北島など全国で公開される。平庫ワカさんの同名漫画を実写映画化した。向井さんに作品の魅力や脚本のこだわりなどを聞いた。

©2022 映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会
作中の一場面 ©2022 映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会

 主人公シイノ(永野さん)が親友マリコの突然の死を知り、父親から長年虐待を受けていた彼女の魂を救おうと、遺骨を強奪して弔いの旅に出る物語。向井さんは原作について「すごく短いストーリーだったし、絵のタッチと相まってスピード感もあり一気に読めました。一方で映画化を前提に読んだので、そのニュアンスを映像に置き換えるのはかなり大変だとも思った」と振り返る。

 脚本はタナダユキ監督と共同で手掛けた。原作にほれ込んだタナダ監督が映画化を熱望し、執筆した第1稿を基に調整した。「監督のやりたいことは第1稿の中に全部あって、そこに原作のニュアンスを生かすため少し言葉を足したり、漫画的な要素をちょっと省いたり、そういう取捨選択をしていった」

 タナダ監督とは「ふがいない僕は空を見た」(2012年)以来、映画で3度目のタッグとなった。「お互いに趣味や癖も大体わかっていて、脚本上の対立は全くない」。その上で「自分が好きすぎる原作を自分が書き、自分で撮ると、思い込みが強くなって良くない。そこで客観性を持たせるために依頼してくれたんだと思う」と説明する。

向井康介さん(本人提供)

 その脚本について「今回は原作者の平庫さんの思いを尊重して自分の色を出すのは抑えた」と言う。「シリアスなストーリーでもあるし、漫画と同じテンションでやりすぎると、すごく浮いてしまう。映画はリアルに寄せていった分、原作よりもしっとりした感じになっている」と、説明的な描写は極力省きつつ、主人公のその時々の感情に寄り添えるように書いた。

 原作は印象的でインパクトのあるせりふが多く、それを最大限に生かすことにもこだわった。「絵もさることながら、言葉の力もすごく強い。主人公のべらんめえ口調のせりふも、残せそうなところはあえて残した。永野さんが違和感のないギリギリのところでうまく使いこなしてくれたので感謝しています」

 今作は、7月にカナダで行われたファンタジア国際映画祭で最優秀脚本賞を受けた。「原作が素晴らしいおかげ」と言う向井さん。見どころについては「ラストシーンは原作を尊重していて、ちょっと冷たく突き放した感じだけど、見終わった後に余韻が残るようになっている。原作もそうした余韻があったから想像の入り込む余地があり、読者が楽しめたと思う。映画でもその余韻を一日でも長くかみしめてくれるとうれしい」と話している。(植田充輝)

作中の一場面 ©2022 映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会

『マイ・ブロークン・マリコ』

9月30日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
配給:ハピネットファントム・スタジオ/KADOKAWA

©2022 映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会

<スタッフ>
原作: 平庫ワカ『マイ・ブロークン・マリコ』(BRIDGE COMICS/KADOKAWA刊)
監督: タナダユキ 
脚本: 向井康介、タナダユキ
音楽: 加藤久貴
エンディングテーマ:「生きのばし」/Theピーズ(King Record)

<キャスト>
永野芽郁
奈緒 窪田正孝 尾美としのり 吉田羊