和田さんの朗らかな人柄を表すような、食べるとほっこりするパンの数々。この家に置いてあったという木製のお盆にパンを乗せて販売する。

和田さんの朗らかな人柄を表すような、食べるとほっこりするパンの数々。この家に置いてあったという木製のお盆にパンを乗せて販売する。

 地元住民や移住者が一緒になって地域の賑わいを生み出している阿南市加茂谷地区。那賀川の中流域に位置する10町からなるエリアだ。たくさんの史跡が残る遍路道「かも道」や落差30メートルの「午尾の滝」、お松大権現など歴史的な魅力や自然あふれる地域に、今新しい風が吹いている。話題のお店や町づくりに情熱を注ぐ人たちを訪ねた。

和み工房 しげぱん

 阿南市吉井町の那賀川の土手沿い。細い路地を進むと、「しげぱん」ののぼりや看板が見えてくる。古民家を改装した趣ある佇まいのパン屋さんだ。こぢんまりとした店内は、芳しいパンの香りに満ちている。

 店主の和田重尚さん(47・埼玉県出身)は、2011年に起きた東日本大震災での原発事故を機に、子育てにいい環境を求めて埼玉からの移住を決意。岡山や広島、四国4県などへ一家全員で足を運び、街並みを見たり先輩の移住者に話を聞いたりした。翌年、阿南市加茂谷に空き家があることを知り、縁を感じて徳島へ移り住んだ。「何の仕事をしようか考えたとき、せっかくのゼロスタートだし、家族みんなが好きなパン屋さんを始めようと思ったんです」。とはいえ、飲食業界に携わったことはなかったため、パン作りのノウハウやパン屋さんとしての働き方を学ぶため、徳島市内のベーカリーで4年間修業した。働きながら空き物件を探していると、「地域の方に“ここ空いてるよ~”と教えてもらって、じゃあ借ります!と二つ返事で。これも縁ですからね」と柔和な笑みを浮かべる。当時築60年の古民家の畳を板間に張り替え、壁には漆喰を塗り、2016年に「しげぱん」をオープンさせた。

 生地には、九州産小麦と白神こだま酵母を使用。小麦と素材そのものの味を引き出すべく、平飼い卵やてんさい糖、鳴門産の塩、牛乳の代わりに豆乳を採用するなど、材料を厳選している。開店してすぐは15種ほどだったが、6年目となる現在は倍近くに増え27種が並ぶ。例えば焼きキーマカレーパン(280円)は、3時間かけて炒めたタマネギにトマトを加え、さらに1時間火にかけ水分を飛ばし、豚肉と自家製ガラムマサラを加えたピリ辛のキーマカレーが入る。他にも、オーガニックのトマトジュースで作るトマトリュスティック(170円)、ふかして漉したじゃがいもが生地の約半分を占めるじゃがいものパン(260円)など個性豊か。どのパンも生地がみっちり詰まっていて食べごたえがあり、噛むほどに素材の旨味が溢れる。

和み工房 しげぱん
徳島県阿南市吉井町地神南6-2
0884-25-0388
営業時間=10:00~18:00(売切まで)
定休日=日曜・月曜・木曜休、年末頃までは阿南市役所へ出張販売のため火曜も休

駐車場:あり
多機能トイレ:なし
Wi-Fi:なし
キッズスペース:なし
開店:2016年