小松島市の住民有志が、日本の航空史上に残る郷土の歴史を紹介するとともに、先人の功績を顕彰する会の設立準備を進めている。同市は日本の民間パイロットで草分け的存在の幾原知重(1887~1914年)を生んだほか、1922年に横須町と堺市の間で国内初の民間航空輸送航路が開設された。幾原が1913年に同市で県内初の飛行会を開いた日に合わせ、12月15日に会を立ち上げる。
会の名称は「イマジンクラブ」。澤内健司さん(43)=小松島市中田町、不動産業=が、国産ジェット旅客機の初飛行や小型無人機ドローンの普及で空への関心が高まる中、市の誇る歴史に焦点を当てようと知人らに呼び掛けた。現在は市内の3人が賛同している。
金磯町出身の幾原は20歳で渡米して飛行学校に入り、世界で244人目の「万国飛行免状」を取得。関西の都市間飛行に挑戦するなどした。民間航空路は旧吉野町出身の井上長一(1887~1972年)が設立した会社が1922年に開設し、39年まで運航された。
澤内さんらは会の設立に向け、幾原の兄の孫に当たる敏典さん(75)=金磯町=を訪ねて免状や当時の新聞記事を見せてもらい、幾原のエピソードなどを聞いた。同市立図書館や東京の航空図書館にも足を運んで資料を調べている。
12月15日は小松島町の徳島小松島港新港に集まり、参加者に歴史を紹介するほか、幾原の飛行を体感するためドローンで上空からの眺めを撮影することも検討している。今後もメンバーを募って共に歴史を学び、イベントを開いて市民らに周知していきたい考え。
澤内さんは「歴史を知ってもらうだけでなく、夢を追う先人の情熱も感じてもらい、地域の活性化にもつなげていければ」と話している。