水木さんの文字が台座に刻まれているこなきじじいの石像=三好市山城町上名

 30日死去した漫画家水木しげるさんが代表作「ゲゲゲの鬼太郎」に三好市山城町の「こなきじじい」を登場させたことで、同町は妖怪の伝承地として知られるようになった。妖怪を生かした地域おこしに取り組む地元関係者らは「大切なことを教えてもらった」「宝物に気付かせてくれた」と恩人に感謝の言葉を並べた。

 山城町には、2001年に住民有志が建てた石像がある。台座にある「児啼爺(こなきじじい)」の文字は、水木さんに書いてもらった。

 「妖怪話の根底にある暮らしの知恵や文化を守る大切さを教えてもらった」と話すのは、伝承の掘り起こしを続けている下岡昭一さん(79)=三好市池田町川崎。石像を建てる時に水木さんが資金を寄付してくれたことにも触れながら、「いつも気に掛けてくれていたようだった。山城町にも来てほしかった」と惜しんだ。

 同町は08年、水木さんが会長の世界妖怪協会から「後世に遺したい怪遺産」に認定され、「妖怪の里」としての注目度が一段と高まった。今では、道の駅大歩危にある「妖怪屋敷」には外国人を含む多くの観光客が足を運ぶ。

 住民グループ「四国の秘境 山城・大歩危妖怪村」の事務局長、平田政廣さん(63)=山城町上名=は07年に京都市であったイベント「世界妖怪会議」であいさつを交わした時の気さくな人柄を覚えている。「水木さんがいなかったら妖怪村はない。これからも見守っていてほしい」と語った。

 水木さんの漫画を参考にして1990年代に県内を調査し、山城町のこなきじじい伝説を確認したのは郷土文化研究家の多喜田昌裕さん(57)=阿南市上中町南島。「気付いていなかった県内の宝物を有名にしてくれた」と振り返った。

 三好市の黒川征一市長は「『妖怪の里』として全国に発信できるきっかけを作ってもらった。感謝の念に堪えない」とコメントした。