正月を前に、阿波市吉野町西条の井上正さん(80)=工務店経営=が竹細工で、えとの置物作りに励んでいる。9年前から知人らに無料で配っており、熟練の技が生み出す味わいが人気だ。ここ数年は県外からの要望もあり、手掛ける数は増え続け、今シーズンは新年のえと「申(さる)」を300体作る。
井上さんは毎年9月ごろから作業を開始。えとの手や胴体、顔などの形に合わせて竹をのこぎりで切り、やすりで削った後、接着剤で貼り合わせる。自宅の作業場に1日最大5時間ほどこもり、多い時は約10体を一気に仕上げる。
「それぞれの動物の特徴をうまく表せるように心掛けている」と井上さん。現在制作中の申は、赤く色を付けた顔の表情が愛らしく、5センチから20センチまでさまざまな大きさがある。
井上さんは2000年、地元の子どもに竹とんぼなどの昔ながらの遊びを伝えようと、本業の住宅建築で培った技術を生かして竹細工を始めた。干支の置物作りは06年から。当初は50体ほどを知人や近所の人に配っていたが、近年は出来の良さが口コミで広がり、関西や香川県などへも送っている。「来年も期待している」「元気で続けてほしい」と感想をもらえるのが何よりの励みという。
井上さんは「置物を見たり、手に取ったりした人たちが明るい気持ちになって、新年を迎えてもらえれば」と話している。
問い合わせは井上さん<電090(1002)3187>。