かつて祖父母が営んでいた商家の再生に取り組む久保田さん=吉野川市山川町川東の旧坂東商店

かつて祖父母が営んでいた商家の再生に取り組む久保田さん=吉野川市山川町川東の旧坂東商店

かつて祖父母が営んでいた商家の再生に取り組む久保田さん=吉野川市山川町川東の旧坂東商店

かつて祖父母が営んでいた商家の再生に取り組む久保田さん=吉野川市山川町川東の旧坂東商店

1931年の建築当初に撮影されたとみられる旧坂東商店(久保田さん提供)

1931年の建築当初に撮影されたとみられる旧坂東商店(久保田さん提供)

 築90年を超える旧商家を民泊や藍染体験ができる施設に再生するプロジェクトが、徳島県吉野川市山川町で進んでいる。趣ある日本家屋のたたずまいを生かしつつ、マルシェを開けるイベントスペースを設置。旅先で余暇を楽しみながら仕事をするワーケーションでの滞在に適した環境も整え、地域間交流や世代間交流の拠点とする計画だ。2023年9月ごろのオープンを目指している。

 改修するのは、戦前から金物や塩、タバコなどを扱うよろず屋を営んでいた山川町川東の旧坂東商店。1931年に建てられた築91年の木造一部2階建て(延べ約240平方メートル)で、礎石の上に柱を立てる「石場建て」という伝統的な構法が用いられている。

 再生を手掛けるのは、東京で建築設計・インテリアデザイン事務所「ハテナバコ」を経営する久保田紀子さん(52)。商店は久保田さんの母方の祖父母が切り盛りしていたが、30年近く前に祖母が転居して空き家になっていた。関東育ちの久保田さんにとっては幼少期によく遊びに来ていた思い入れの強い家で、約2年前から再生に向けて構想を練ってきた。

 計画によると、店舗や土間として使われていた1階には、マルシェやワークショップを開催できるイベントスペースや、山川町で栽培される藍を使った藍染体験コーナーを設ける。2階はWi―Fi(ワイファイ)や複合機といったテレワーク環境を整えたワーケーションスペースの他、カフェなどの営業を想定したテナントとして貸し出す。民泊スペースは1、2階に分けて配置する。

 9月13日に改修に着手。建物の傾きを修正する工事を行い、梁(はり)や柱などの建材はなるべく再利用する。国の事業再構築補助金1500万円を活用し、1年がかりでリノベーションする。

 近くの阿波和紙伝統産業会館や吉野川市の観光振興に取り組む一般社団法人Kittamu(キッタム)、久保田さんが東京事務局を務める忌部文化研究所などとも連携。観光情報の発信や交流拠点とする。

 久保田さんは「人が集う場だった商家のような施設は、地域のコミュニティーが薄れている今の時代に必要。交流拠点となるような施設に再生させたい」と意気込んでいる。