放課後、毎日溶接の練習に励む豊田さん。徳島科技高の生徒会長も務める。

放課後、毎日溶接の練習に励む豊田さん。徳島科技高の生徒会長も務める。

左が恩師の田口勝さん。「溶接のすべてを教えてもらいました」と豊田さん。

左が恩師の田口勝さん。「溶接のすべてを教えてもらいました」と豊田さん。

徳島科技高3年・機械工作部 豊田煕(ひかる)さん

 金属を溶かして接合する「溶接」。工業製品や工作機械、橋梁や自動車道など様々なものづくりに必要不可欠な技術である。7月末、この溶接技術の腕比べをする大会「四国地区高校生溶接技術競技会」が愛媛県新居浜市で開催された。ここで徳島県予選を突破して出場した徳島科技高3年の豊田煕さんが最優秀賞を獲得! 所属する機械工作部の顧問・近藤崇志先生は「学校始まって以来の快挙。徳島の高校が最優秀賞を獲ったのも初めてのことです」と称える。

 豊田さんが挑んだのは「被覆アーク溶接」部門。2枚の鋼板を競技時間20分で溶接し出来栄えを競う。豊田さんは「毎日、機械工作部で溶接の練習をしてきました。前日の練習ですごく上手くできたので、その感覚が本番でも持てたら入賞できるかなと思っていました。でもまさか最優秀賞を獲れるとは、自分でもびっくりです」とはにかむ。高校に入学し「せっかく技術専門の学校に来たので」と機械工作部へ入部。以来、社会人講師の田口勝さん(80)の指導のもと溶接技術を磨いてきた。田口さんは「溶接もスポーツと同じ。練習量に比例してできるようになるものです。彼は習得意欲も向上心もある努力家。3年生になってぐっと上達した」と評価する。練習では1日1枚溶接を仕上げ、自己評価してノートに記す。「板に対して溶接棒を30度に倒して進めていくんですが、同じ角度を維持するのがすごく難しいんです。先生に見てもらって改善点を聞き、次はそれを意識してやってみる。昨日できなかったことが、今日できるようになる。それが溶接の面白いところです」と豊田さんは充実感をにじませる。

 11月には「高校生ものづくりコンテスト全国大会 溶接競技部門」へ挑む。これは全国各地区でトップの成績を収めた選手だけが出場できる大会。つまり溶接のインターハイだ。「基本的な技術は大丈夫。本番まで練習を重ねて、いけるとこまでいきたいです!」と意気込む。学校では生徒会長を務める豊田さん。多忙な時間を縫って腕を磨き、全国の舞台へ乗り込む!