外国産ワカメを「鳴門水域産」と偽って表示、販売した疑いがあるとして、徳島県警生活環境課と鳴門署は8日午前、鳴門市撫養町立岩のワカメ加工業大林年子代表(84)の自宅などを食品表示法違反の疑いで家宅捜索した。県は11月に大林代表に対して同法違反で表示の是正を指示していたが、その後の調査で他にも偽装があったとして、8日、是正を命令するとともに刑事告発した。
午前8時40分、県の職員2人が大林代表の自宅を訪れ、是正措置命令書を本人に手渡した。その後、県警の捜査員14人が令状を示し、次々と中に入った。2時間余り捜索し、段ボール4箱分の帳簿や乾燥ワカメなどを押収した。自宅前の作業場では原料の仕入れを担当していた大林代表の長男から作業工程などを聞き取った。
県によると、大林代表は自身の産地偽装が11月2日に発覚した際、県の聞き取りに対して「他に卸している所はない」と答えていたが、同6日にとくしま食品表示Gメンが三好市の飲食店で売られている大林代表の商品を発見。大林代表に事情を聴いたところ、外国産を混ぜているとの趣旨の発言をした。この商品は同2日の偽装発覚前から売られていたという。
県はこの商品(30グラム入り)を3袋購入し、民間の分析機関で鑑定したところ、いずれも今月7日に「鳴門産ではなく、韓国産の確率が高い」との鑑定結果が出た。偽装が続いたことから悪質性が高いと判断し、告発した。
家宅捜索の後、大林代表は徳島新聞の取材に対し「注文を受けて足りない分をつい混ぜてしまった。いろいろな方に迷惑を掛けてしまい、反省している」と話した。
ワカメの産地偽装をめぐっては、2008年に不正競争防止法違反容疑で鳴門市内の加工会社の社長らが書類送検され、10年には別の加工会社の元社長が県警に逮捕されている。14年にも同法違反と日本農林規格(JAS)法違反の疑いで、加工会社の社長らが逮捕されている。