四国霊場43番札所・明石寺は愛媛県西予市宇和町にある。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝とも関係が深く、古くは武家の尊崇を集めた。「あかしじ」ではなく「めいせきじ」と読む

 本来は「あげいしじ」と呼ぶそうだ。説明板に由来が書いてあった。その昔、若くて美しい女神が願をかけ、深夜に大石を運ぶうち夜明けに驚いて消え去った-

 「女神とは、本尊の千手観音です。大盤石(巨岩)を持ち上げて、仏の力を示したのでしょう」と寺の人。西日本豪雨で著しい被害が出た愛媛県。寺の周辺でも土砂崩れなどが相次いだ。今こそ、その力を、と願う人は多かろう

 ダムの放流で肱川(ひじかわ)が氾濫し、大規模に浸水した同市野村町は車ならすぐそこ。ダムの足元ともいえる所にある。川筋の家々は激しい流れにえぐられ、姿を変えていた。下流の大洲市も水害は広範囲に及ぶ

 上流にある野村、鹿野川両ダムの放流量は、安全とされる基準の6倍に上った。原因の第一は異常な雨にあるとしても、両市で9人が犠牲になっている。避難指示は適切だったか。河川管理に問題はなかったか

 しっかり検証するのは当然として、今は被災地の一日も早い復旧を目指し、力を尽くそう。土砂災害で11人が亡くなった隣の宇和島市もボランティアを募集中だ。千の人手があれば、観音様の力にも近づくだろう。