徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 夏かぜの代表的なウィルス疾患である手足口病やヘルパンギーナの原因ウイルスがエンテロウイルスです。エンテロウイルスの中にはコクサッキーウイルス、エコーウイルス、エンテロウイルス(狭義の)が含まれます。名前の付け方はウイルスが発見された時の場所や、発見時の事情がありますが、近年発見されたものにはエンテロウイルスの後に番号をつけることで表現されます。

 手足口病では手掌、手背、手間、足底、足背、口腔粘膜に水疱性発疹が見られます。時に下腿、膝関節、臀部にも出現します。口腔粘膜の発疹は口唇や舌周辺に出現して痛みをともないます。手足口病の発疹は約1週間で消失しますから、比較的軽症な疾患です。

 手足口病の原因ウィルス型はコクサッキーウイルスA16とエンテロウイルス71が代表ですが、他にもいくつかの型が知られていて、流行年によって特殊な病型をとることがあります。近年東アジアで見られたエンテロ71は重症化することがあり死亡例もありました。

 ヘルパンギーナは高熱と咽頭に小水疱ができる疾患です。発熱は1〜4日間、口腔内所見は3~7日間で消退する疾患です。特別な治療を必要とすることが少ない疾患ですが、高熱による熱性けいれんや、水分食事が取れなくなることがあります。

 エンテロウイルスは咽頭から侵入して腸管で増殖するウイルスです。病初期、咽頭からウイルスが1週間ほど出現します。腸管内では数週間にわたってウイルスが検出されます。感染予防には急性期の接触を避けることや糞便の取り扱いに注意することです。