元NHK徳島放送局のアナウンサーで、スポーツジャーナリストの佐塚元章さん(67)=静岡市出身、東京都在住=が「スポーツ好きは甲子園とオリンピックから始まった」(文芸社)を出版した。初任地となった徳島で高校野球を担当した思い出やスポーツ実況の醍醐味などがつづられている。
副題は「2018甲子園100回大会、2020東京オリンピック・パラリンピックに向かって」。高校野球や五輪などで培ったスポーツアナウンサーとしての歩みを中心に、6章で構成されている。
佐塚さんは1973年から5年間、徳島放送局で勤務。「徳島県の皆さんに育てられた」と当時を振り返る。文中では高校野球取材で出会った池田高の故蔦文也監督との思い出や豪快かつ繊細な人柄に触れたときの印象を紹介している。
さらに、太平洋戦争中の42年夏に甲子園球場で行われた「幻の甲子園」や、鳴門高があと一歩で甲子園出場を逃した75年夏の南四国大会決勝の模様を取り上げ、高校野球の歴史の奥深さや地方大会の魅力を伝えている。
高校野球と五輪の現状や課題にも言及。部活動の在り方や商業化が進む五輪に苦言を呈しながらもスポーツへの愛情あふれる内容となっている。
佐塚さんは「徳島への感謝の気持ちだけでなく、スポーツの将来についても提言した。考えるきっかけになれば」と話している。