日亜化学工業が鳴門工場に設けるLED応用製品新生産棟の完成予想図(同社提供)

 日亜化学工業(阿南市)は、LEDに電気回路や制御機器などを組み合わせた応用製品の生産体制を強化するため、鳴門工場(鳴門市)に生産棟を新設する。LEDは、液晶バックライトや照明など幅広い用途で市場拡大が見込まれる一方、メーカーの競争が激化している。付加価値の高い応用製品の販売額を2021年には現在の倍に増やし、新たな販路の拡大を目指す。

 

 新生産棟は免震構造で、鉄骨6階延べ約4万5千平方メートル。日亜のLED関連生産設備では辰巳工場(阿南市)の生産棟に次いで2番目の大きさとなる。8月着工、20年5月完成の予定で、同10月から稼働を始める。投資額は21年までに約160億円を見込む。

 新生産棟の稼働に合わせ、新たに50~100人を雇用する。4Kテレビやノートパソコンなど液晶バックライト用から生産を始め、21年には応用製品の売上高を現在の約65億円から倍の約130億円に引き上げる計画。その後も、照明用や車載用なども含めて順次生産を拡大する。

 応用製品は、取引先のニーズに応じて生産し、液晶バックライト用では光の明るさをコントロールして映像を鮮明に見せたり、省エネ性能を高めたりできる。照明用では超薄型にして均一に光らせることなどができる。

 取引先は、LED単体を仕入れるより生産が効率化でき、液晶や照明器具に組み込んでさまざまな製品を製造しやすくなる。

 中国や台湾、韓国のメーカーの台頭で、LEDの生産は競争激化が続いている。小川裕義社長は「白色LEDのトップメーカーとして、先進的な形の光源を市場に提案することで新たな収益の柱にしていきたい」と話している。