つるぎ高校(つるぎ町)の生徒が、徳島城の「門扉」の30分の1縮尺の模型を完成させた。明治初期に取り壊された徳島城は遺物の大半が散逸したが、門扉は藍の館(藍住町)に一部が現存しており、文書や絵図で裏付けが取れる唯一の構造物。再現模型は、藩政期の城郭建築への理解を深めるための貴重な資料となり、同校は校外に貸し出すことも検討している。
門扉は両側に門番の部屋を備えた「長屋門形式」で、模型は幅89センチ、奥行き23センチ、高さ21・5センチ。建設科建築コースの1、3年生7人が6月から制作に当たっていた。
格子や柱など現存する部分には同じケヤキ材を使い、それ以外の部分は建築当時に一般的に使われていたヒノキ材を使用。扉上部にある格子状の透かしまで丁寧に再現した。
「肘つぼ」「八双金物」といった金具は、機械科1年の5人が加工を担当した。扉はその金具を使って実物と同じように開閉できる。かんぬきも作るなど、細部にまでこだわって制作した。
生徒は1月、建設科の岡本和之講師(64)とともに藍の館に残る扉と支柱の実測調査を実施。岡本講師が、その構造から「長屋門形式」で、当時の間取り図と照合して徳島城西端の「御花畠(おはなばたけ)庭園」に設置されていたことを推定していた。
機械科1年の秦佑真君(16)は「これほど小さな金具を作ったことがなかったので難しかったけど、仕上げることができて達成感でいっぱい」と話していた。