1日の改正労働安全衛生法施行で、1年以内に従業員の「ストレスチェック」を行うことが義務化され、徳島県内の職場でも「心の健康」への対応が迫られている。徳島労働局の調査では、県内事業所の9割超が何らかの対策を取っている。一方で、心の不調が理由の休職者がいる事業所は3割に上る。周りが発見しづらいこともあり、各企業は有効な手だてを打てていないのが実情のようだ。
労働局健康安全課によると、調査は10月、ストレスチェック周知などを目的として従業員50人以上の事業所657カ所に実施。632カ所から回答があった。
何らかのメンタルヘルス対策に取り組んでいるのは592カ所(93・7%)。内容は「職場復帰支援プログラムの作成」197カ所(31・2%)、「メンタルヘルス関連の研修会開催」319カ所(50・5%)、「管理監督者の教育研修」320カ所(50・6%)、「相談体制の整備」471カ所(74・5%)などとなっている。
うつ病や精神疾患など、心の不調で休職した従業員が過去1年以内にいるのは209カ所(33・1%)。休職者の人数や日数などを個別に把握できる態勢にある事業所は226カ所(35・8%)にとどまっており、労働局は「プライベート上の問題で休職する可能性もあり、調査しづらいケースもある」とみている。
徳島市のある病院では、個人面接をしたり出勤状況を確認したりして、心の健康対策に取り組んでいる。労務管理者は「不調を全く表に出さず、急にやめてしまう人もいる。上司が日常業務から目配りや声掛けなどで異変に気付くしかない」と説明する。
松岡和人・健康安全課長は、国の基準に基づくストレスチェックは従業員の心理的な負荷を数値化できるとして「客観的な資料になるので早期の対策に期待できる。努力義務の事業所(従業員50人未満)も積極的に運用してほしい」と話している。
◎ストレスチェック設問例
・非常にたくさんの仕事をしなければならない
・職場の仕事の方針に自分の意見を反映できる
・技能や知識を仕事で使うことが少ない
・職場の雰囲気は友好的である
・働きがいのある仕事だ