東京一極集中を是正する中央省庁や国の研究機関の地方移転をめぐり、河野太郎消費者担当相が14日午前、消費者庁(東京)の誘致に乗り出している徳島県を訪れ、県庁などを視察した。公務で上京中の飯泉嘉門知事とテレビ会議システムを使って県庁で会談した河野氏は、徳島への移転の可能性について「ハードルはそんなに高くないと思う」と述べ、前向きな姿勢を見せた。
河野氏は県庁特別会議室で県東京本部の知事とテレビ会談。消費者庁の移転について「非常に可能性のある提言。徳島に行くかどうかではなく、徳島に行くための課題をどのようにして解決するかだ」と指摘した。
河野氏は「(地方移転は)初めてのことだから、怖さやイメージが湧かないこともある」としながらも、ICT(情報通信技術)のシステムを駆使すれば東京との距離的障壁をクリアできるとの考えを示した。「テレビ会議はテーブルを挟んで話しているようだ。総務省の知見も借り、うまくシステムを組めるか議論し何が必要か考えたい」と述べた。
会談で知事は▽全国に先駆けて食の安全・安心や消費者行政に力を入れている▽光ブロードバンド環境が整っている-など他県との違いをアピール。河野氏の発言を受け「前向きな考えに敬意を表したい。さまざまな処方箋を徳島から出したい」と応じた。
河野氏は会談後、県が消費者庁の移転先として示す県庁10階や11階の食堂などを視察。神山町のサテライトオフィスも訪問した。午後は県消費者情報センター(徳島市)で消費生活相談員との意見交換などを行う。
県は消費者庁以外に、国民生活センターや総務省情報通信政策研究所など5機関の誘致を提案している。