優勝旗を持つ三浦光主将を先頭に行進する鳴門の選手

 初戦から3試合連続の2桁得点で勝ち上がった鳴門は、第1シードらしく打線が活発だった。チーム打率3割5分2厘の数字以上にここ一番での集中打が光り、2回戦と準決勝では終盤に4点差をひっくり返す大逆転劇を演じた。決勝も長短5安打を集めて4点を奪った三回の猛攻が勝利につながった。

 決勝はエース西野が一人で投げきり、試合をつくった。一方、リリーフ陣の調子が上がらず、チーム防御率は4・36。甲子園で強豪校と渡り合うには、投手陣の再調整と4試合で8失策の守りの強化が必要だ。

 準優勝の生光学園も総合力では鳴門に引けを取らなかった。月岡、湯浅の中軸は決勝でも存在感を発揮。投手陣も梶谷、安藝が好救援を見せたが、勝負どころでの一本の差で初の甲子園出場を逃したのは惜しまれる。

 8強入りしたチームには好投手が多かった。ノーシードから準決勝まで勝ち上がった富岡西の躍進は見逃せない。準々決勝で第4シードの城東を退けた打力は前評判通り高かった。第2シードの鳴門渦潮も打線はよく振れていたが、投手陣が踏ん張りきれず2連覇を逃した。

 序盤戦は全体的に大味な試合が目立った。全30試合のうち、コールドゲームが半数以上の16試合と、昨年の7試合から大幅に増えた。1点差ゲームが前回の9試合から5試合に減り、中盤以降の失点が多かったことから見ても、投手のスタミナ不足は否めなかった。

 統合に伴い、現校名で最後の夏の大会となった新野と、阿南光と合同チームを組んだ阿南工はそれぞれ1勝を挙げて有終の美を飾った。新野のエース多田は、今大会でただ一人の9回完封勝利投手となった。

 連日の猛暑による熱中症対応にも追われた大会だった。21日の第9日からは七回終了時に3分間の給水タイムが設けられたが、足がつるなどの症状を訴える選手が多く見られた。西日本を襲った豪雨で当初は7日開幕の日程が過密になったこともあるが、今後はより選手の健康面を考慮した大会運営が望まれる。