参拝者の利便性を高めようと、美馬市脇町西大谷の西照神社は7月から、お守りやお札の購入時に利用できるスマートフォンの決済サービスを導入した。神社に設置している「QRコード」をスマホで読み取るなどして、クレジットカードで支払う。神社の「脱現金払い」は異例で、神社本庁(東京)やカード会社は「聞いたことがない」としている。
導入したのは、楽天のスマホアプリ決済サービス「楽天ペイ」。代金支払時にアプリを起動し、QRコードを読み取ったり、購入代金を入力したりするとクレジットカードでの決済が完了する。「ナナコ」など一部電子マネーも使えるようにした。祈祷(きとう)料やさい銭でも決済サービスを使えないか楽天側と協議するという。
参拝者は現金を出す手間が省け、神社側はお守りなどの授与所で保管する現金を少なくできる利点がある。
標高946メートルにある西照神社は、パワースポットとして雑誌などで紹介され、県外の参拝者が増加している。お守りなどを複数購入する人が多く、カードやスマホでの支払いを求める声が上がっていた。都築誠宮司は「脱現金払いを進め、犯罪者を出したり犯罪に巻き込まれたりするのを避けたい」と話している。
神社本庁は「授与品は商品ではない」との理由から、包括する全国約7万8千社にカード決済をしないよう通達。ただ「神社それぞれの考えがある」としている。愛宕神社(東京)は2014年から、仕事始め(1月4日)のさい銭のみ電子マネー「楽天エディ」での決済を実験的に行っている。