「虹の麓まで」の一場面。神山町の焼山寺周辺が舞台となっている(「虹の麓まで」製作委員会提供)

「虹の麓まで」の一場面。神山町の焼山寺周辺が舞台となっている(「虹の麓まで」製作委員会提供)

 神山町の四国八十八カ所霊場12番札所・焼山寺周辺で撮影された短編映画「虹の麓(ふもと)まで」(20分)が、東京都西東京市で11月にあった西東京市民映画祭の自主制作映画コンペティションで最優秀作品賞を獲得した。松山市出身の映像ディレクター高岡尚司さん(27)=大阪市在住=が、自らの遍路体験を基に手掛けた。

 焼山寺を目指して歩く小学6年の男児と叔父が、衝突しながらも自らの生き方を見つめ直していくストーリー。「遍路転がし」と呼ばれる険しい坂道や趣のある接待所など、静かな神山町の風景をバックに男児の成長が描かれている。

 高岡さんは23歳の時に自転車で八十八カ所を回った経験があり、最も印象に残った焼山寺付近を舞台にした映画を作りたいと考えていたという。大阪市内の映像制作会社に勤める傍ら、昨年2月から脚本を練り、俳優やスタッフを集めて同年10月に撮影した。

 コンペティションは人材発掘を目的としており、今回で14回目。20分以内の作品が対象で、全国から95点の応募があった。「虹の麓まで」は「映像面、技術面、演技面で圧倒的な実力」と評価され、演技者賞も獲得した。

 15分に短縮した作品は徳島県が募集した「第4回ICT(あいして)とくしま大賞」で奨励賞に選ばれている。15分版は、徳島県の公式ホームページの同大賞の結果をまとめたコーナーから閲覧できる。

 高岡さんは「自分の体験から生まれた思いを率直に表現した。初めて作った映画が評価され、うれしい。今後は長編にも挑戦したい」と話している。