徳島県内の主食用米や加工用米などの2015年産作付面積は1万1900ヘクタールで、統計の残る1958年以降で最低だったことが中国四国農政局の調査で分かった。14年産が供給過剰になって米価が大幅に下落し、飼料用米への転作が進んだのが主因。前年の作付面積より10%(1300ヘクタール)減少しており、減少幅も最大だった。
減少幅は中四国9県で最も大きく、続く香川、高知(6%減)を4ポイント上回る。最も小さかったのは3%減の山口、愛媛だった。
農林水産省は年間需要の予測を基に毎年都道府県の生産目標を設定しており、15年産の徳島県分は作付面積換算で1万2350ヘクタールだった。徳島が農水省の目標値を下回るのは初めてで、同省が主張してきた「過剰な作付け」が解消されたことになる。
徳島の15年産収穫量は5万4400トン。初めて6万トンを割り込んだ14年産から8・9%(5300トン)減り、収量でも過去最低を更新した。
一方、飼料用米の作付面積は前年の4倍の約1200ヘクタールに上った。県や農業・畜産関係団体で県飼料用米推進プロジェクトチームを設けて農家に転作を勧めており、14年産米価の大幅下落によって転作が進んだ。転作した農家に国と県が支給する交付金が、10アール当たり最大1万4千円加算され同14万4千円となったのも大きい。
JA徳島中央会の中西庄次郎会長は「水稲農家には主食用米を作りたいとの思いがある。しかし、コメの消費が低迷する中で米価を浮揚させるには、飼料用米への転作推進など需給調整は必要」と述べ、作付面積の減少は致し方ないとの認識を示した。