四国の課題解決や将来の発展に知恵を絞る「四国活性化プロジェクト」(徳島新聞など四国の4新聞社主催)。今年は「『#四国はイイトコ』アンバサダー決定戦」と題し、若者が集うライブ配信サービス「SHOWROOM」上で、四国のPRに一役買ってくれるアンバサダーのオーディションを行います。ネットでの情報発信は、時に爆発的な波及効果を生みます。決定戦に先立ち、ネットを生かして地域の魅力を軽やかに伝える若者を紹介します。
理想の店思い描いて カフェ260店の特徴伝える
【徳島】西條賢人さん(22)阿南市羽ノ浦町、会社員
休日のたび県内各地のカフェに足を運び、「徳島カフェ男子」の名前で情報を発信しています。これまでに紹介したのは約260店。内観や料理の写真を撮影して店の特徴などを書き込みます。
「目の前で炙(あぶ)ってくれるという神サービス」「天井から差し込む光がとっても綺麗(きれい)」。お客さんはどんな情報が欲しいのか考えながら、価格帯や品ぞろえ、雰囲気などを柔らかい表現で伝えます。
特に気を付けるのは写真。興味を引くような画角を意識し、正方形で撮影します。複数の写真のうち、1枚目に文字をのせ、どんな店かすぐ分かるように心掛けています。
もともとカフェ巡りが趣味で、将来は店を持ちたいと思うようになったのが投稿のきっかけ。いろいろな店を見て発信することで、どんな店がいいか勉強になるし、自分のことも知ってもらえます。今後はイベントなどに出店し、経営の流れを学びたいですね。
人生の中で、仕事は多くの時間を占めます。時間の使い方を考えれば考えるほど、店を出したい気持ちが強くなります。人生を、仕事を有意義にしたいから。
日常の風景にも反響 全国のライブで西条をPR
【愛媛】ちゅんゆ胃さん(21)松山市、シンガー・ソングライター
歌手として全国でライブをしながら、愛媛のラジオでパーソナリティーを務め、出身地である西条市をPRしています。
西条で過ごしたのは10歳まで。祭りに熱気があって、毎年冬には家族で石鎚山に登りました。湧き水のおいしさは離れて初めて気付きましたね。自然が豊かで、子どもたちの遊べる場所があるのが四国のいいところです。
所属事務所がある東京と愛媛を行き来していると、地元の温かさが身にしみます。路上ライブをしていて「愛媛で活動してくれてありがとう」って応援してもらえるとうれしくなります。
交流サイト(SNS)が10~20代の情報収集の場。私の日常を切り取っただけでも、お店や風景を見て「行ってみたい」と全国の中高生から反応があります。中高生を巻き込んで、全国の人が知らない愛媛の情報をSNSに投稿してもらうのがいいんじゃないかな。
大学を出たら東京が拠点になるけど、愛媛とのつながりは絶やしたくない。四国はいつも、帰りたい場所。将来子育てするときは帰って来たいです。(愛媛新聞)
癒やされる場目指し 飼育員と動物の「素」を投稿
【高知】森香央理さん(32)高知市、桂浜水族館職員
隣は、桂浜水族館(高知市)の公式キャラクター「おとどちゃん」。ツイッターに職員や動物の素の姿を毎日投稿しています。私はと言いますと、おとどちゃんを手伝うマネジャー。カメラを手に、隙あらば館内をうろつくのが仕事です。
田舎の何の変哲もない水族館です。採用された2016年当時は入館者が減っていて、「このままじゃいかん」と改革を始めた頃でした。うちにしかいない魅力的な生き物は人だと気付き、素の飼育員を発信するようになりました。
「お客さんがいなさすぎてこのままでは給料がでません!」と、若手の飼育員3人が画面に向かって土下座したことも。ありがたいことにフォロワーは23万人。母親のように見守ってくれる人や、県外客も増えました。
仕事を通じ、高知やこの街に生きる人をちゃんと見詰めるようになり、その温かさを知ることができました。だから高知の水族館として、動物、飼育員、おとどちゃん、何でもいいんですけど、訪れる人が癒やされる場でありたいと思っています。
おとどちゃんと一緒に、あったかい輪を広げているところです。(高知新聞)
後悔ない生き方求め 讃岐うどん店の流儀を動画に
【香川】高地直人さん(33)多度津町、ユーチューバー
「ヤグタウン」の名前で2020年4月から毎日欠かさず、讃岐うどん店を紹介する動画を投稿サイト「ユーチューブ」にアップしています。
これまでに400軒以上を訪ねました。前日までにアポイントメントを取り、店に勧められたメニューを食べるのがルーティンです。お客さんはメニューだけではなく、食べ方や注文方法など「店の流儀」も知りたいはず。そんな視点が6万人超というチャンネル登録者につながっているのではないでしょうか。
サラリーマンだった6年前、友人の誘いでゲーム実況の動画を投稿し始めました。父親が末期がんと診断され、1年たたずに他界したのを機に「後悔のない生き方をしよう」と決め、19年夏に退職。専業ユーチューバーになりました。
うどん店巡りにしたのは「自分にしかできないことをやらないと」と思ったのが理由。将来設計はまだぼんやりしていますが、当面の目標は「登録者数10万人」と、香川の観光大使。認めてもらいながら一つずつステップアップしたいですね。(四国新聞)
四国活性化プロジェクトは、四国の4新聞社が紙面やイベントを通して地域活性化の多様な視点を提起するプロジェクトで、28年目を迎えます。「#四国はイイトコ」アンバサダーの公開オーディションは7~13日。詳細はこちらから。問い合わせは徳島新聞社営業企画部、電話088(655)7313(平日午前9時半~午後5時半)。