名称からとがった山をイメージされることが多いが、その名の由来は安徳天皇の剣が埋められていることにちなむといわれている。山容はなだらかで、山頂一帯はクマザサに覆われている。 三好、美馬両市、那賀町に山域を広げる剣(つるぎ)山(さん)(標高1955メートル)は、つるぎ町貞光から麓まで結ぶ国道438号や標高1750メートルの西島神社までのリフトが整備され、誰もが手軽に行ける高山として親しまれている。
現在のように登山として親しむ歴史は百年に満たず、修験道の行場、信仰の山としての年月の方が長い。このため山域には修験道に由来する神社や行場が点在する。
7月22日に頂上近くの剣山本宮で行われた例大祭に出掛けた。クライマックスは、「みこし渡御」。今年は晴天に恵まれ、青い空に雲がわき上がる中、天狗(てんぐ)に先導されたみこしが、「六根清浄」の掛け声と共に、一帯に広がるササ原を練り歩いた。
白装束の信者に交じって登山者ものぼりを手に参加する。みこしが頂上に着けば、多くの人がこうべを垂れ、手を合わせる。山を敬い感謝する気持ちは、連綿と受け継がれている。