吉野川堤防近くに蜂須賀桜の苗木を植える会員。とくしまマラソンのコース沿いに植樹を続けている=2月、上板町下六條

吉野川堤防近くに蜂須賀桜の苗木を植える会員。とくしまマラソンのコース沿いに植樹を続けている=2月、上板町下六條

 徳島城御殿にあった蜂須賀桜の普及に取り組むNPO法人蜂須賀桜と武家屋敷の会(徳島市)が、発足から10周年を迎えた。活動のメーンとなる苗木の植樹は県内を中心に約3800本に上り、蜂須賀桜の認知度を高めてきた。メンバーは「これからも徳島の『宝』を守り伝えていく」と、節目に決意を新たにしている。

 会は、市民有志で結成された「蜂須賀桜を保存し広める会」を母体として、2005年7月発足した。07年にNPO法人となり、現在は県内外の64人が所属している。

 活動の中心は植樹活動。県内外の公園や吉野川堤防沿い、遍路道沿いなどに毎年300本以上植えてきた。バチカンやエチオピアなど国外にも約60本植えた。

 このほか06年から毎年3月、蜂須賀桜と共に徳島城から移築された原田家住宅=同市かちどき橋3、国指定有形文化財=を一般公開している。

 10周年に合わせ記念誌(A4判、108ページ)も発行。原田家住宅にある満開の蜂須賀桜の写真を表紙にあしらい、会員ら4人が思い出を語る特集記事のほか、植樹活動の写真やエピソードを掲載。県内の分布状況をまとめたイラストマップ、原田家住宅の図面なども載せた。桑原信義理事長(83)ら6人が1年がかりで完成させ、600部を会員や関係者らに配った。

 桑原理事長は「多くの協力者のおかげで、発足当時には思いもしなかった数の蜂須賀桜を各地に植えることができた」と振り返り「徳島が誇る美しい桜を原田家住宅の歴史とともに広めていきたい」と話した。