美摩病院(徳島県吉野川市鴨島町上下島)の内科に勤める50代の男性医師が、勤務中に女性看護師(38)の顔の近くで催涙スプレーを噴射し、全治3日のけがを負わせていたことが21日、関係者への取材で分かった。スプレーは病院が防犯用に置いていたもので、噴射した理由について医師は「コメントできない」と話している。看護師は阿波吉野川署に被害届を提出、署が傷害容疑で調べている。
病院関係者の話では、11月2日午前9時ごろ、診察室でパソコンに向かっていた医師に、看護師が後方から「ちょっといいですか」と話し掛けた。その直後、医師が卓上に置いていた催涙スプレーを取って振り返り、看護師の顔の右斜め前方約30センチの位置から1回噴射した。
看護師によると、顔には直接かからなかったが、目や顔に痛みを感じてその場にうずくまると、医師は「これって効くんやな」と言ったという。看護師はすぐに院内で目と顔を洗ったが痛みが治まらず、市内の別の病院で手当てを受けた。
看護師は同日、阿波吉野川署に被害届を提出。その後、病院には出勤していない。同5日に病院と医師から謝罪の電話があったものの、看護師は「医師がこのようなことをするとは信じられない」と憤っている。
美摩病院は5月、別の医師が外来診察室で患者から暴行を受けたため、防犯用として診察室に催涙スプレーを置いていた。医師は8月31日から同病院で勤めている。
病院の野口一郎事務長は「弁護士に任せているので詳細は話せないが、医師を厳重注意した」とし、懲戒免職も含めて処分を検討しているという。