一人遣いの人形芝居「箱廻(まわ)し」を研究する辻本一英さん(64)=徳島市国府町芝原、芝原生活文化研究所代表=が、伝統文化などに関する資料収集や博識で社会に貢献した人をたたえる「第4回水木十五堂(じゅうごどう)賞」に選ばれた。徳島ならではの木偶文化を残そうとする取り組みが評価された。
辻本さんは、1995年に阿波木偶箱まわし保存会を結成。正月の門付け芸「三番叟(さんばそう)まわし」や大道芸「箱廻し」の継承に取り組むほか、後継者育成のための教室を小中学校で開いている。阿波木偶や関連用具などを約900点収集し、このうち「阿波木偶の門付け用具」163点は国の登録有形民俗文化財に指定されている。
同賞の選考では、徳島独特の伝統芸能の復興や継承、関連資料の収集に熱心に取り組んでいることなどが高い評価を受けた。
水木十五堂は「三番叟まわし」の門付けが行われていた愛媛県伊予市出身。辻本さんは「受賞の知らせを受け縁を感じた。全国各地で民俗芸能を残そうと活動する人たちの励みになる」と喜んでいる。
授賞式は2016年1月31日に奈良県大和郡山市のやまと郡山城ホールであり、辻本さんの講演や、阿波木偶箱まわし保存会による記念公演も行われる。
同賞は大和の研究で知られ、収集家としても有名な水木十五堂(本名要太郎、1865~1938年)の功績にちなみ、大和郡山市が設けた。博物学者の荒俣宏さんや歌舞伎役者の四代目市川猿之助さんらが受賞している。