準優勝杯を先頭にグラウンドを1周する佐古愛日野球クラブの選手たち=JAバンク徳島スタジアム
 

 見ていて、涙がこみ上げてきた。7月28日にあった第59回徳島新聞社こども野球のつどい決勝戦。中野島(阿南市)に敗れた佐古(徳島市)の子どもたちは試合終了後、泣きじゃくった。まさに号泣といった感じだった。見かねたスタンドの保護者らが「よくやった、準優勝やぞ」「胸を張れ」と必死に叫ぶものの、涙は止まらない。自分たちの力が出し切れず、よほど悔しかったのかもしれない。勝者がいれば敗者がいる。あどけない表情の子どもたちを見ていると、酷なようにも思えるが、これが勝負の世界。でもきっと、涙は強くしてくれる。人生の糧になるに違いない。

 佐古の鵜飼克雄監督は、元プロ野球選手。徳島商業から同志社大、四国電力を経て日本ハムからドラフト1位指名を受け入団した。引退して帰郷後、子どもたちの指導に当たっている。

 鵜飼監督はバントをさせない。だから佐古にはバントのサインがない。鵜飼監督は「野球で一番おもしろいんは、打つことや。小学生のころは思い切って振ったらええんや」と言う。惜しくも優勝はならなかったが「子どもたちはいい経験になったと思う。子どものころは、勝ち負けより、いかにいい経験をするかが大事や」と続ける。

 練習時間の長さや試合の多さが指摘される少年野球だが、佐古の練習は週1日だそうだ。「子どもは他にもいろいろしたいことがあるだろうし、野球を嫌にならずに楽しんでもらいたい」との思いからだ。そして最後にこう言った。「それにしても野球は楽しいわ」。70歳を超えても、ボールを見つめる目は、子どもたちと変わらない。(#夕刊編集部)