ノロウイルスや細菌などによる感染性胃腸炎が、徳島県内で流行しつつある。徳島保健所管内では定点医療機関の平均患者数が8週連続で10人を超えた。激しい下痢や嘔吐(おうと)を引き起こすため、高齢者施設などでは集団感染への警戒が必要で、飲食店などの食中毒対策も求められる。県は感染拡大防止へ手洗い励行や消毒徹底を呼び掛けている。
県によると、県内の小児科定点医療機関23カ所の感染性胃腸炎の平均患者数は、第43週(10月19~25日)で6・5人、第46週(11月9~15日)で9・4人と増え始めた。
その後は横ばいで推移し、警報レベル(平均20人以上)には至っていないが、徳島保健所管内では第44週(10月26日~11月1日)に12人となって以降、最新の第51週(12月14~20日、10・2人)まで10人超が続いている。
感染性胃腸炎の原因菌やウイルスのうち、重症化しやすいのがノロウイルス。予防に有効なのは塩素消毒液だけで、アルコール消毒は効果がない。
県安全衛生課は、年末年始に留意すべき催しの一例として餅つきを挙げる。餅つきには不特定多数の人が関わり、つきたての餅をこねるなどほとんどが手作業。衛生管理が不十分だと、ノロウイルスの付いた餅を食べる可能性が高まり、集団食中毒につながる恐れがある。
同課によると県内では過去3年間、餅つきなどの催しでノロウイルスによる食中毒は発生していないが、担当者は「作業前にはせっけんを付けて入念に手を洗い、餅を素手で触らないように手袋をしてほしい」と呼び掛ける。
生鮮食品を扱う飲食店やスーパーなども細心の注意を払う。徳島市のある居酒屋では、食器や包丁などの調理器具を塩素消毒液で洗った上で熱湯で消毒している。従業員に健康状態を毎日報告してもらうなど、体調管理も欠かさない。居酒屋の店主(52)は「万が一にも食中毒が起こらないように、適切な予防策を講じていきたい」と気を引き締めている。