休館中の鳴門市文化会館。再開のめどが見えず文化関係者から不安の声が上がっている=同市撫養町南浜

休館中の鳴門市文化会館。再開のめどが見えず文化関係者から不安の声が上がっている=同市撫養町南浜

 耐震化のため鳴門市文化会館(徳島県鳴門市撫養町南浜)が2021年3月に休館してから1年8カ月が経過した。市からは改修工事や再開のスケジュールが今も示されておらず、市内の文化団体や関係者から不安の声が上がっている。新型コロナウイルス禍による公演中止と相まって、代替会場の確保に苦労したり、会員数の減少に悩んだりする団体もある。関係者は「鳴門の文化が衰退する」と危機感を募らせている。

 市文化会館は14年に「震度6強以上の地震で倒壊する可能性が高い」と診断された。存廃を検討した結果、市は19年12月に耐震化の方針を示し、21年3月末に休館した。

 休館以降、市は利用状況などを調査した。22年2月に公表した文化会館の適正規模調査では、徳島県が徳島市文化センター跡地などに新ホールを整備するのに伴い、年間稼働率は40%以下になり、利用料収入が約40%(1千万円以上)減る可能性があるとした。

 22年度は当初予算に1千万円を計上し、京都大大学院に耐震補強案や改修費の調査を依頼した。ただ途中経過は発表されていない。

 新型コロナ禍や資材高騰といった社会情勢が大きく変わる中、着工時期や完成予定時期、事業費などが明かされず、市民の間からは懸念の声が上がる。

 会員制の観劇団体「鳴門市民劇場」の井上裕子代表幹事(62)は「発表や鑑賞の場が市外に移り、鳴門の文化活動が停滞している」と嘆く。活動の主会場を藍住町総合文化ホールに移したことで、交通手段がない高齢者や仕事帰りに観劇に訪れていた人の足が離れた。20年1月に755人だった会員数は、21年9月には508人に落ち込んだ。

 市と共に毎年、会館でベートーベン「第九」交響曲演奏会を開いてきた認定NPO法人鳴門「第九」を歌う会は、23年の公演は鳴門教育大体育館を代替会場として開く予定だ。しかし、設備の違いに頭を悩ませている。照明や音響設備がなく、広さや耐荷重の問題で出演人数を3分の1に絞らざるを得なくなった。亀井俊明副理事長(79)は「『鳴門の第九』の灯を消さないために頑張り続けるしかない。一日も早く会館を使用できるよう願っている」と言う。

 全日本吹奏楽コンクール県大会の小中高校生部門が、21年から香川県観音寺市のホールでの開催を余儀なくされるといった影響も出ており、市には情報開示や早期着工が求められる。

 市特定事業推進課は「耐震補強や改修費の調査結果を取りまとめ、市議会12月定例会で報告する見通し」としている。

鳴門市文化会館
モダニズム建築の権威と呼ばれる建築家で京都大名誉教授の増田友也氏(1914~81年)の遺作。82年に落成した。音楽ホールとして県内最大の収容人数(1480席)を誇り、数多くの公演が開かれた。